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一期一会の出会いと緊張感

佐藤さんが辛くもどかしく感じた出来事は、鴨の一種のカワアイサを追っていた時のこと。子育てに木の穴を使うカワアイサは、オシドリから巣穴を奪ったようで、その中にオシドリのたまごが一つ残っていたそうです。たまごからかえったオシドリのヒナは、カワアイサをお母さんだと思って一生懸命ついていきますが、カワアイサのお母さんに自分の子どもとは認識されなかったため、一緒に移動することはできませんでした。

「人間社会にいるだけでは決して気づかないところで、動物のある意味残酷にも見える厳しい現実が起きているということを目の当たりにすると、命の尊さを強く感じます」。

また、「野生動物を撮っていると、生死の瞬間を目の当たりにすることがあります。カワアイサの親子が連なって川に向かう途中、親の後をついていく子どもがカラスやキツネに連れ去られ食べられてしまうこともあります」

佐藤さんは、生物が他種の生物を捕えて食べる「捕食」の瞬間を、生きるための”命の交換”という言葉で表現しました。

『カワアイサの親子』母のあとをついて泳ぐヒナたち

「目の前にいる動物が他の動物から食べられることは、人間からすれば残酷なシーンですが、動物から見たら僕たちと同じ食事で、生きて行くためにしていることと変わりない」

だからこそ、佐藤さんは「もう二度と会えないかもしれないという偶発的な出会いの瞬間と緊張感」が好きで、野生動物を撮り続けているといいます。

『青い目』キタキツネの赤ちゃん

”癒し”になるような可愛い写真がいっぱい

今回の写真展では、野生動物の可愛い姿に観る人たちが癒されて欲しいということをテーマにしていますが、”命の尊さ”を伝えらえたら…という思いもあるようです。写真展では、心が和むような可愛い野生動物の写真が観られます。

『笑顔にするトーテムポール』食事中のエゾモモンガが縦に並んでいます

個展名は、観る人を”癒したい”、”和んで欲しい”という願いを込め「北の和毛」という名前が付けられています。「和毛」とは、モフモフとした”柔らかい毛”を指す言葉です。

展示作品は、「和毛」を象徴するような”雪の妖精”と呼ばれる「シマエナガ」のほか、「エゾフクロウ」のヒナなど野生動物の可愛い写真を中心に全76点を観ることができます。

『冬毛』”雪の妖精”と呼ばれるシマエナガ

頬がパンパンになったシマリスを写した「ほぺぱん」や、満月の夜に現れた2匹のエゾモモンガ「お月見」など、ユニークでストーリー性のあるタイトルにも注目です。北海道の自然を背景に、普段目にすることのない北海道に生きる野生動物の貴重な瞬間を、観ることができます。

『ほぺぱん』巣材にする落ち葉で頬がパンパンのシマリス
『お月見』満月の夜にひょっこり現れたエゾモモンガ

自然写真家・佐藤章プロフィール

1972年北海道釧路市に生まれ、釧路市在住。動物、風景、星空などを中心に撮影する”週末フォトグラファー” 

近年の受賞歴

2023年・第61回富士フイルムフォトコンテスト ネイチャーフォト部門 銅賞

     ・Try & Discover フォトコンテスト2022 入賞

2022年・第70回ニッコールフォトコンテスト ネイチャー部門 特選

・TOKYO INTERNATIONAL FOTO AWARDS 2022 Nature/Wildlife部門 Honorable Mention

2021年・Nature’s Best Photography Asia 2021 HIGHLY HONORED BIRDSなど多数の賞を受賞

【「北の和毛」概要】

【開催場所】東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階 ニコンプラザ東京 THE GALLEY

【開催日時】2023年6月6日~19日/10時30分~18時30分(最終日は15時まで)

【観覧料】無料

【休館日】日曜

【電話】0570-02-8080

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大島あずさ
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