『おにぎり浅草宿六』 @浅草
観音裏で70年、伝統を守りながら進化中
片方の海苔が凛と立つ。その佇まいは、江戸の粋とでも言おうか。「生まれた時から実家がおにぎり屋なんて、たぶん僕だけでしょ」と言う三代目店主の三浦洋介さん。1953年、洋介さんの祖母が浅草で開業した同店は東京で一番古いおにぎり屋だ。当時は浅草の酔客が呑んだ後の〆を求めて集っていたという。鮨屋さながらの檜のカウンターにはショーケースが設けられ、そこに並ぶ17種の具材は70年変わらぬまま。
あみ 319円、さけ 341円
大きな羽釜で米がツヤよく炊かれ、熟練の手つきで握られるおにぎりは、江戸前海苔の香りをまとい、口中でふわっとほどけていく。これがたまらない。米は毎年新米の時期に試食し、味の濃さを基準に選定。今年は新潟県産コシヒカリを使う。気候により炊き方を調整したり、米のハリ感を出すべく蒸らし時間を考慮したり。「自分が旨いと思うものを作っているだけ」と三浦さんは笑うが、情熱と心意気がひしひし!ピシッと旨く、いやはやニクい。気持ちがシャンとする。
【おにぎりDATA】
米:新潟県産コシヒカリ
塩:企業秘密(その日の気分で変える)
海苔:東京湾産
重さ:約100g
[住所]東京都台東区浅草3-9-10
[電話]03-3874-1615
[営業時間]11時半~ご飯がなくなり次第終了、17時~ご飯がなくなり次第終了 ※火・水は昼のみ
[休日]日
[交通]地下鉄銀座線ほか浅草駅3番出口から徒歩10分
『OMUSUBI CAFE(おむすびカフェ)』 @代官山
やさしい三角に詰まった真心を味わう
おにぎりの味には作り手の人柄も表れるのだと思う。素朴な形に詰まったやさしさは店主の矢澤さんの真っすぐな姿勢そのもの。和食の料理人として約20年、まかないで評判だった「おむすび」に着目し、自身に子供が産まれたことをきっかけに「家族に作るように、安心でやさしい味を届けたい」と無添加のお惣菜とおむすびの店を始めた。故郷岩手の特A米「銀河のしずく」にこだわり、しっかりした粒と秀逸な旨みに合うよう海苔や塩も吟味したそう。
おむすび2個の一汁二菜せっと(選べるおむすび2個・主菜1品・副菜1品) 1560円
「表面はしっかり、中ふっくら」を理想として握るそれは、かぶりついた瞬間に米粒も心もほろりとほぐれるおいしさだ。約20種の具材も誠実そのもの。「特別なことはしていないんです。丁寧にダシを引くなど基本を守っているだけ」。塩麹にひと晩つけて焼いた「鮭」や鯛茶漬けから考案した「鯛の利休漬け」など全て手作りで、その小さな三角に料理人ならではの技と感性と、真心が息づく。そう、これは片手で味わえるご馳走なのだ。
【おにぎりDATA】
米:岩手県産銀河のしずく
塩:沖縄県産粟国の塩
海苔:有明産
重さ:約125g~130g
[住所]東京都渋谷区猿楽町3-7 へーベルSTAY代官山1階
[電話]03-6321-0168
[営業時間]9時~15時半(15時LO)、16時半~20時半(20時LO、土・日・祝は通し営業)
[休日]不定休
[交通]東急東横線代官山駅西口などから徒歩7分