浩宮さま(現・天皇陛下)と雅子さまがご結婚され、やがて待望の赤ちゃんがお生まれになった。父と母の愛を一身に受けた愛子さまはすくすくと育たれた。愛子さまの首が座るようになると、一家は栃木県の那須御用邸にお出かけになった。愛子さまのはじめての夏休みである。那須御用邸は、天皇家にとってなじみの深いご静養の土地である。お忙しいご公務から離れて、心と体を癒しつつ、ときには周りの人々と歓談のときを持たれることもあった。とりわけ浩宮さまがしばしばご提案されたのは、気さくに皆で楽しめるバーベキューだったという。今回は、那須御用邸での楽しいひとときの物語である。
愛子さまをベビーキャリアで背負ってハイキング
愛子さまご誕生から8カ月たった夏、愛子さまはご両親に連れられて初めて那須御用邸に向かわれた。那須塩原駅に到着されたときには、浩宮さまが愛子さまを抱っこされてホームに降り立った。お誕生日会見で「積極的に子育てに関わりたい」と話されていたとおりの子煩悩ぶりである。
翌週、ご一家は黒磯市(現・栃木県那須塩原市)の沼ッ原湿原で2時間ほど散策された。浩宮さまは愛子さまをベビーキャリアで背負ってハイキングコースを歩かれた。山歩きで鍛えられた浩宮さまならではのアイデアである。そうして、すれ違う人たちとのふれあいを楽しまれた。初めての愛子さまとの家族3人での夏休みは、思い出深いものとなったことだろう。