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「圧倒的に簡単で、圧倒的に美味しいコツ」がわかるレシピ

この本のレシピは、「sioのオリジナルレシピ」と「シンプルに味わうレシピ」に分かれ全64レシピが載っています。「圧倒的に簡単で、圧倒的に美味しいコツ」が詰め込んであるという、力強い一冊。

「sioのオリジナルレシピ」は、鳥羽さんが“最高においしい”と思うプロならでのひとひねりが効いた料理や、おうちごはんがワンランク上にあがりそうなレシピ。

「シンプルに味わうレシピ」は、定番ながら野菜本来のおいしさを引き出すコツもわかります。

ピーマンの旬は6~8月 いくらでも食べられそうな「無限ピーマン」

「sioのオリジナルレシピ」で特に興味深かったのは「なすのベニエ(フランス版の天ぷらのようなもの)」です。鳥羽さんのコメントに「僕が海外でおぼえた、衝撃のレシピ」とあるように、日本ではなすにあまり使わないような「牛乳」を用いた下ごしらえをして揚げています。

”そこまで言うなら”試してみたい「なすのベニエ」

皮をむいてカットしたなすは、牛乳に30分漬け込むことで柔らかくなり、こんがりきつね色に揚がった衣の中でとろっと甘くジューシーになるそうです。”なすの概念が変わる“というおいしさを想像しただけでも食欲をかきたてられます。

「sioのオリジナルレシピ」からもうひとつ。「レタスチャーハン」は、一見普通に感じるメニューですが、ここにも鳥羽さんならではの独創的なアイデアで、誰が作ってもパラパラチャーハンが簡単に作れます。このレシピの大きなポイントは、”万能米”(やや硬めの食感のピラフ)を炊くこと。

実際に試してみると、フライパンで必死にあおる必要がなく、パラっとした状態に仕上がりました。”万能米”でチャーハンへの苦手意識が軽減し、専門店の食感に近づいたような達成感を得られました。

鳥羽さん提案 ”万能米”でパラっとチャーハン

ほとんど手間がかからないレシピの中で、作る工程が多くても是非試してみたいのは「sioのオリジナルレシピ」にある、夏が旬のトマト、フルーツトマト、ホール缶を使った「トマトソースパスタ」です。

レモンの皮が爽やかなアクセント レストランの厨房に入った気分で作れそうな「トマトソースパスタ」

選んだ理由は、フレッシュトマトとホール缶で作ったトマトソースを合わせることで味に深みを出し、ハンドブレンダーで滑らかなソースに仕上げるなど、家庭ではあまりやらないプロならではの技が見られるからです。仕上げにはレモンの皮を(好みで)使うなど、家庭のトマトソースパスタがレストランで食べるような特別な味わいになりそうです。

シンプルに味わうレシピから「トマトのだし浸し」暑い夏、こんな一品があったら嬉しい

ミシュラン(覆面調査員による調査結果などでおいしいお店を星の数で評価したフランス発祥のガイドブック)一つ星を誇るシェフの料理のおいしさの秘密がわかるような一品です。

「シンプルに味わうレシピ」では、ブロッコリーを切って塩茹でするだけの「ブロッコリーの塩茹で」があり、「ちょっと、シンプルすぎるでしょう~」と、ツッコミたくなりました。。

でも、色止めや食感を残すため、つい氷水につけてしまいそうなところを“水にさらさない”とあります。こうすることで、水っぽくならず野菜本来の旨みや風味をより感じ、おいしさを引き出すレシピなのだとわかりました。料理初心者は、こういった基礎的なことを知ることで調理を始めるきっかけになるかもしれません。

その名も「ブロッコリーの塩ゆで」 ブロッコリーの「茎」は食べることができ、普段食べている緑色の「蕾」よりビタミンCやベータカロテンが多いそうです

この本は、料理のジャンルを問わず使用する調味料も手に入りやすいものがほとんどです。野菜の保存法には、保存期間の目安、冷凍野菜の活用法やおすすめの食べ方などもわかるので、メニューのアレンジも広がりそうです。

ビールに合いそうな「ぺペロンそら豆」茹でないのでフライパンひとつで完成

料理を難しく感じさせない鳥羽さんの軽快なトークは魅力のひとつ。本の中には、マンガの吹き出しのようなレシピコメントも見どころです。簡単に作れそうなので“作ってみたくなる”。作って食べると、いつもの野菜が驚くほどおいしくなって、誰かに”作ってあげたくなる”。そんな嬉しいレシピと、ためになる野菜の知識が盛り込まれた一冊です。

「菜の花の焦がしソテー」菜の花をフライパンに置いたら、勇気をもって”焦げ”を待つ!

【鳥羽周作】

料理を監修した鳥羽周作さん

1978年生まれ。埼玉県出身。一つ星レストラン「sio」のオーナーシェフ。シズる株式会社代表取締役。Jリーグの練習生、小学校の教員を経て、31歳で料理の世界へ。 2018年東京・代々木上原に「sio」をオープン。同店は『ミシュランガイド東京 2020』から 4年連続一つ星を獲得している。現在「sio」「Hotel’s」「o/sio」「o/sio FUKUOKA」「パーラー大箸」「ザ・ニューワールド」「おいしいパスタ」など 8 店舗を展開。書籍、SNS、YouTubeなどさまざまなメディアでも「おいしい」を発信している。モットーは『幸せの分母を増やす』(『おうち野菜の神レシピ』より一部抜粋)

【青髪のテツ】

”すぐに役立つ”野菜情報を監修した青髪のテツさん

スーパーの青果部歴14年の中で野菜の販売や仕入れをした経験から、2020年、「青髪のテツ」としてTwitterで野菜についての発信を始める。フォロワーは2023年7月10日時点で60万超。本名や素顔は非公開。「野菜の選び方」「保存方法」「簡単レシピ」「旬」など野菜に限定した発信が注目されている。新たに野菜のブログ「やさいのトリセツ」 も運営中。近著に『野菜売り場の歩き方』(サンマーク出版) 『おいしい野菜まるみえ図鑑』(KADOKAWA)など(『おうち野菜の神レシピ』より一部抜粋)

文/大島あずさ

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