沖縄県うるま市の子どもたちに20年以上に渡り継承されてきた現代版組踊(くみおどり)「肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)」の東京公演が、2023年8月20日、21日に東京都内の文京シビックホールで4年ぶりに開催されます。地域おこしを目的に一度きりで終わるはずだった舞台が、参加した子どもたちの熱意や地域の支えなどによって、少しずつ活動の場を広げ観る人に感動を与えて続けてきたという2日限りの公演です。
うるま市は2005年に誕生
那覇市より北東へ25km、沖縄本島中部東海岸に位置するうるま市。同市は、2005年に具志川市(ぐしかわし)、石川市、勝連町(かつれんちょう)、与那城町(よなしろちょう)が合併して誕生しました。県のホームページによると、人口は約12万人で、「うるま」は、「さんごの島」という意味をもつ沖縄の言葉に由来しています。
うるま市は、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」のひとつとして登録された「勝連城跡(かつれんぐすくあと/かつれんじょうあと) 」や闘牛が盛んなまちとしても知られています。観光大使は、2008年に発売された大ヒット曲「366日」を手掛けたうるま市出身の人気バンド「HY」が務めています。
「感動を産業に」を合言葉にうるま市の魅力を発信
同市は、2023年4月26日、「多くの人々を感動させる地域であり続けるため」に、行政と民間が連携してうるま市の魅力を発信していく『感動産業特区』宣言をしました。活動を推進するアンバサダーには、地元の中高生が中心となり活動をしている”現代版組踊(くみおどり)”「肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)」が選ばれました。
組踊とは、沖縄に伝わる伝統芸能(宮廷芸能のひとつ)で、せりふ・音楽・踊りで構成される歌舞伎のことで、沖縄の古語、琉球音楽、琉球舞踊を用いるのが特徴です(「文化庁広報誌 ぶんかる」参照)。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、「組踊」をベースに現代的な音楽とダンスを取り入れて、勝連城10代目城主「阿麻和利(あまわり)」の半生を描いた、いわば「沖縄版ミュージカル」。
「阿麻和利」は勝連城10代目城主であり、勝連城の繁栄の時代を築いたとされ、「肝高き(きむたかき)」(=誇り高い)人物として語り継がれる物語を、オーディションで選抜された76人の中高生が演じます。
演じる子どもたちの熱意と周囲の協力で繋がれた伝統芸能
現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、 1999年当時の勝連町教育委員会によって、「子ども達の感動体験と居場所づくり、ふるさと再発見・子どもと大人が参画する地域おこしを目的」に企画されました。
最初に集まった子どもの数は、わずか7人。2000年3月下旬の本番までの3カ月間、教育委員会と演出家らの地道な努力が功を奏し、最終的に150人が集まり2日間で延べ4200人に及ぶ観劇者数を動員しました。
当初は、中学生による1回限りの公演予定でしたが、出演した子ども達の再演への願いを込めた感想文や嘆願書により再演が決定します。子どたちを支援する仕組みも整えられていき、出演対象者に高校生も加わり、中高生による活動が始まりました。
2000年3月の初演以来、公演回数は351回を数え観客動員数は延べ20万人を超え、2008年に歴代の先輩たちの夢でもあった初の海外公演『ハワイ公演』を実現しました。現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、2009年、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟(東京都・恵比寿)に、「失われつつある豊かな文化や自然を、子どもたちの未来に残そうとする”活動”」として「第一回プロジェクト未来遺産」に登録されています。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」文京シビックホール公演概要
【開催日時】1日2回公演
2023年8月20日(12時開場/13時開演、17時開場/18時開演)、8月21日(10時開場/11時開演、14時半開場/15時開演)※上演時間:2時間40分(途中休憩あり)
【会場】東京都文京区春日1-16-21文京シビックホール大ホール
【観覧料】特別席5000円、S席4000円、A席3500円、B席2500円(エリア指定のみ可能、車椅子席希望は事前の問い合わせが必要)