新横浜ラーメン博物館・あの銘店をもう一度

「MOTTAINAI(もったいない)」の思いから米NYで誕生 マグロのアラを白濁させた唯一無二の「ツナコツ」ラーメンが横浜ラー博に

新横浜ラーメン博物館(横浜市)は、30周年を迎える2024年へ向けた取り組みとして、過去に出店した約40店舗が2年間かけて3週間のリレー形式で出店するプロジェクト「あの銘店をもう一度」を2022年7月1日から始めています…

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新横浜ラーメン博物館(横浜市)は、30周年を迎える2024年へ向けた取り組みとして、過去に出店した約40店舗が2年間かけて3週間のリレー形式で出店するプロジェクト「あの銘店をもう一度」を2022年7月1日から始めています。このプロジェクトにあわせ、店舗を紹介する記事の連載も同時に進行中。新横浜ラーメン博物館の協力を得て、「おとなの週末Web」でも掲載します。

8月8日から始まる第20弾は、米ニューヨークの「YUJI RAMEN」です。

逆輸入ラーメン第4弾のNYのお店が再び!

第20弾は、逆輸入ラーメン第4弾としてご出店いただいた「YUJI RAMEN」さんの登場です!
【あの銘店をもう一度・第20弾・「YUJI RAMEN」】
出店期間:2023年8月8日(火)~2023年8月28日(月)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※第18弾「らぁ麺むらまさ」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる

・過去のラー博出店期間
2017年3月16日~2018年9月24日

2017年出店時の外観

岩岡洋志・新横浜ラーメン博物館館長のコメント「本当の意味での魚料理の魅力を伝えるという志に感動」

2013年にスタートした逆輸入(海外で誕生したラーメン店を紹介)ラーメンですが、特に2012年から2017年頃までは頻繁に海外の調査を行い、2015年、ニューヨークを訪れた際は15軒ほどのラーメン店を調査しました。

ニューヨークは一風堂の成功もあり、既に多くのラーメン店が存在し、どちらかというと日本のオーセンティックなラーメンが評判でしたが、その中、アメリカで魚の卸をやっていた原口雄次さんが開いたYUJI RAMENは、日本のラーメン店はまず考えない発想で、“もったいない“というコンセプトで捨てられてしまう魚のあらなどを使い、独創的なメニューを提供しておりました。その中でも私たちが“これは!”と思ったのがマグロ(ツナ)のアラを白濁させ、動物系を一切使っていない“ツナコツ”でした。

原口さんの「アメリカは寿司を食べるというスタイルだけ上陸し、本当の意味での魚料理の魅力は伝わっていない。魚料理の魅力を寿司に限ることなく広める」という志に感動してお声がけさせていただきご出店いただきました。

トンコツならぬツナコツの味を是非この機会に味わってみてください。

「アメリカで自分のレストランを持ちたい」と再渡米

原口雄次さんは1981年1月19日、栃木県宇都宮市生まれ。高校時代は作新学院の野球部に所属し、野球に明け暮れる日々。東京国際大学在学中に交換留学としてアメリカに渡り、オレゴン州のウィラメット大学を卒業。帰国後、日本で就職するも「アメリカで自分のレストランを持ちたい」という夢をかなえるため再び渡米しました。

創業者の原口雄次さん

レストラン業界を食の流通から勉強するという目的で、ボストンにある魚の卸を中心とした食品商社へ就職。これが大きな転機となりました。

自ら魚をさばく技術、魚の知識を身に付けた原口さんは、営業先の大半が日本料理や寿司店であった中、あえて日本人以外のシェフがいるレストランを開拓しました。それは単純に魚を売るのではなく、捨てられている鮮度のいいアラの有効活用を顧客に提案するなど、本当の意味での魚の素晴らしさを提案し続けました。そして、全米でトップの成績を収めたころ、原口氏の頭の中には大きな志と、様々なアイディアが生まれ、それを具現化するために独立することとなりました。

ニューヨークで4店舗を経営

原口さんは現在ニューヨークにある4つの店舗で、魚を通じた5つの業態を展開。2012年「YUJI RAMEN」からスタートし、2014年にはニューヨーク近海でとれた魚を使った一汁三菜の和定食を提供する「OKONOMI」をオープン。

ニューヨークのブルックリンにある本店(2017年撮影)

魚を丸ごと買い付け、朝と昼は「OKONOMI」として魚の身の部分を焼き魚として提供し、夜は「YUJI RAMEN」に名前を変え、残ったアラの部分を有効活用し、ラーメンを提供しています。このスタイルは魚の卸時代に培った「MOTTAINAI」という考えを具現化したものです。

ニューヨークのブルックリン本店の店内(2017年撮影)

原口さん曰く「まだまだアメリカでは魚に対する価値観や知識、料理方法といったものは浸透していません。時間はかかりますが、この状況を変えるには、やはりエンドユーザーから変えていかなければなりません。そして日本の文化を伝えるのは、一見すると日本人と思われがちですが、実は現地人です。今アメリカの店舗のスタッフの多くはアメリカ人です。彼らが関心を持ち、知識や技術を身につけることにより、彼らからアメリカ人に広がっていくのです。こうした積み重ねが文化を創ると思っています」とのこと。

魚の知識と技術、そして英語と日本語を深く理解している原口さんだからこそ導いた答えなのです。

“MOTTAINAI RAMEN”~もったいないラーメンの誕生

MOTTAINAI RAMEN~もったいないラーメン~への取り組み
「MOTTAINAI」という言葉は日本語であり、今では世界共通語として広く知られるようになりました。これは環境分野で初のノーベル平和賞(2004年)を受賞したワンガリ・マータイ氏が来日した際に感銘を受けた言葉であり、そこから広まっていきました。

しかしながら、日本の「食料廃棄率」及び「一人当たりの廃棄量」は残念ながら世界一です。この言葉は本来、日本人が大切にしていた文化だったにもかかわらず、モノがあふれる今日ではそれが実証できていません。

YUJI RAMENのロゴ

原口さんは「Honor Your Fish~お魚を大切に~」という言葉をスローガンに、有効活用されていない食材を、技術と知恵、工夫により高いクオリティに仕上げ、食材廃棄問題の解決策として提案し続けています。

マグロの髄の旨味が凝縮した「ツナコツ」ラーメン
スープは、豚骨や鶏ガラなどの動物系素材を一切使用せず、マグロのアラをオーブンでローストし、強火で炊き上げ白濁させたツナコツ(鮪骨)スープ。

ローストしたマグロのアラ(2017年撮影)

動物系を一切使用していませんが、ゼラチン質をたっぷり含む力強いスープに仕上がっています。アクセントとして使用する「柚子胡椒」が風味をより一層引き立てます。

マグロのアラを煮込んで白濁させる「ツナコツ」ラーメン

スープに合わせる麺は、「極細ストレート麺」。麺に加える水分(加水)が少ないため、力強いスープとのマッチングは絶妙です。

具材は、低温の油でじっくりと火を通した「マグロのコンフィ」。しっとりホロホロ食感で旨みたっぷりです。その他の具材はスープを引き立たせるため、白髪ねぎ、カイワレ、みょうが、とシンプルな構成。

マグロのアラを白濁させた唯一無二の「ツナコツ」ラーメンを、この機会に是非ご堪能ください。

唯一無二の「ツナコツ」ラーメン

『新横浜ラーメン博物館』の情報

住所:横浜市港北区新横浜2-14-21
交通:JR東海道新幹線・JR横浜線の新横浜駅から徒歩5分、横浜市営地下鉄の新横浜駅8番出口から徒歩1分
営業時間:平日11時~21時、土日祝10時半~21時
休館日:年末年始(12月31日、1月1日)
入場料:当日入場券大人380円、小・中・高校生・シニア(60歳以上)100円、小学生未満は無料
※障害者手帳をお持ちの方と、同数の付き添いの方は無料
入場フリーパス「6ヶ月パス」500円、「年間パス」800円

※協力:新横浜ラーメン博物館
https://www.raumen.co.jp/

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