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酒の造り手だって、そりゃ酒を飲む。誰よりもその酒のことを知り、我が子のように愛する醸造のプロ「杜氏」は、一体どのように呑んでいるのか?大手企業で酒を醸す杜氏。酒に対する情熱は大手も小さな蔵も関係ない。仕事の後の一杯を愛する気持ちも同様で、いつもの「旨い」に顔がほころぶ。

兵庫県『宝酒造』

工場長【碓井規佳氏】

『宝酒造』の工場長、碓井規佳氏

1961年大阪府生まれ。発酵工学の修士課程修了後、1985年に宝酒造入社。伏見工場、酒類研究所などで一貫して清酒の製造と研究、商品開発に携わる。2012年に白壁蔵の工場長に就任。

自社の酒を常温かぬる燗で

「『生もと純米』(「もと」は本来、「酒」へんに「元」)を、その時の気分に合わせて常温かぬる燗で酌む」と、杜氏は言った。「松竹梅 白壁蔵」やスパークリング日本酒「澪」を醸す、神戸市東灘区に位置する宝酒造の“白壁蔵”の工場長・碓井規佳さんだ。仕事帰りに仲間と連れ立って、最寄り駅近くの居酒屋で一杯を味わう。新型コロナの影響でそんなささやかな楽しみもおあずけとなっていたが、ようやくかつての日常が少しずつ戻ってきた。

白壁蔵は6階建ての巨大な施設だ。伝統的な手造りの原理を進化させた機械設備による酒造りと、ほとんどの工程を人の手で行う酒造りを並行して行なっている。重視するのは目標とする酒質を再現性高く造ることだと碓井さん。

「例えば蒸し米の水分、温度変化などあらゆることを数値化してデータとして蓄積し、各工程にわずかなブレも生じないよう徹底します。それでも微生物が相手ですから、毎回同じ酒にするのは不可能です。ただし、その差を極力小さくして再現する努力はできます。酒造りに百点満点は絶対にない。だからこそ面白いんですよ」

長崎や千葉での単身赴任経験もある碓井さんだが、現在は通おうと思えば通える滋賀県から「なんちゃって単身赴任中」だ。自宅でのひとり酒を好まず、週1回は誘い、誘われて飲みに行くという。この晩、テーブルには塩サバやダシ巻き玉子などが並んだ。碓井さんの好物は焼魚。

単身赴任中の晩酌は気の置けない仲間と職場近くの居酒屋で

アジ、イワシ、ホッケ、なんでもござれ。塩サバをつまんで、まずは常温でキュッ。「たまりませんね。私は火入れによって変成したタンパク質が大好物。旨みたっぷりで」と、食べ物の表現にはあまり聞き慣れない用語から科学者の一面が光る。途中からぬる燗、さらに自社の焼酎のお湯割りやチューハイも注文し、いろんな酒を同時にゆったり楽しむユニークなスタイルに。

「もちろん私たちの自信作を飲んでいただきたいですよ。でも今の率直な気持ちは、どんな銘柄でも、どんなジャンルでも、世のみなさんにもっと酒を飲んでほしい。酒が生み出す、こういう幸せな時間を味わってほしい。そう思いますわ」と、お猪口を干した。

『居酒屋 はくはく亭

刺身、焼魚、さらには握り寿司と魚介類に力を入れる居酒屋。近隣のビジネスマンで連夜賑わう。酒は1合550円〜

[住所]兵庫県神戸市東灘区北青木3-13-12
[電話]078-412-8998
[営業時間]17時〜24時(日は16時〜23時)
[休日]月
[交通]阪神本線青木駅北出口から徒歩3分

『宝酒造』@兵庫県

2001年竣工の近代的設備を備えた日本酒工場。手間ひまのかかる伝統的な生もと造りの酒をテクノロジーを駆使して再現性高く醸造する。主力は工場名を冠した「白壁蔵」シリーズ。「松竹梅 白壁蔵 生もと純米」はふくよかな米の旨みと、キレのよさが特長。

【松竹梅 白壁蔵 生もと純米】

『宝酒造』の「松竹梅 白壁蔵 生もと純米」
『宝酒造 白壁蔵』

撮影/松村隆史、取材/渡辺高

2023年5月号

※2023年5月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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