全国に約330店舗を展開する人気ファミリーレストランの『デニーズ』が、2023年に創業50周年を迎えた。それを記念して、都内の人気レストランシェフ監修によるメニューが9月12日より提供スタート。ひと足先に、web編集部ライターの田村が実食してきました。フードスタイリストかつママの目線で、このメニューを魅力をお伝えします。
画像ギャラリー2023年に創業50周年を迎えたファミリーレストラン『デニーズ』は、都内人気レストランシェフ監修メニューシリーズを販売すると発表した。
星付きレストランのシェフ3名が監修
50周年という節目に、もっと価値あるものを取り入れていこう、お客様の近くでひと皿に生きる活力と楽しさ、心の豊かさを提供する「一皿に豊かな明日を」というミッションを掲げ、ワクワク感と感動を呼ぶおいしい料理や商品、ホスピタリティ、心地よい空間を提供していこう、という理念のもと、この「デニーズ50周年記念メニュー」の企画が発表された。
『Regalo』(レガーロ)の小倉知巳シェフ、「アロマフレスカ」の原田慎次シェフ、そして「ルカンケ」の古屋壮一シェフ。錚々たる顔ぶれだ。みなミシュランの星付きレストランで予約がなかなか取れない大人気店である。
そのお店の味を、全国約330店舗あるデニーズの店内で楽しめる。
予約をしなくても、都内に行かなくても、しかもデニーズで提供されるお値打ち価格で食べられるのだから、利用者にとってこんなにお得でうれしい企画はないと思う。
スターシェフが語る監修メニューへの意気込み
3人のスターシェフ監修のメニューは、3つの時期に分かれて提供される。
まず第1弾は2023年9月12日からイタリアンレストラン『Regalo』(レガーロ)の小倉知巳シェフのスペシャルメニュー。その後10月下旬~11月頃に『アロマフレスカ』の原田慎次シェフ、年末年始あたりに『ルカンケ』の古屋壮一シェフのメニューが順次登場する予定だ。3人のスターシェフに意気込みを聞いてみた。
小倉シェフ「本格的など真ん中のイタリアンを提供したい。パスタは日常のもの。先週食べたけど今日も食べたい、とリピートしてもらえるものを作った。自信あります!」
原田シェフ「いいものができあがった。詳細は言えないが、冬の食材を使い普段はお店で出していないようなパスタを作りました」
古屋シェフ「フランス料理店は小さい子どもが入りづらいところもある。店舗数が多いデニーズでフランスのエスプリを入れた料理をコース仕立てでたくさんの人に食べていただき、気軽に楽しめること、そして、子どもたちにフランスの食文化を知ってもらえたら」
シェフが一様に驚いたデニーズ開発チームの熱意と努力
シェフが口を揃えて言っていたことが「開発チームの熱意と企業努力の素晴らしさ」だ。
この商品開発においてどれほどの想いがあり、さらなる味の向上、探求心、そして仕入れから調理、提供などオペレーションが細かく決められていてどこの店舗でも誰でも同じように調理ができるようになっているなど、学ぶことが多くあったそうだ。
3人のシェフも『デニーズ』も互いに学びや発見があり、ともに試行錯誤して作り上げた実りのあるコラボだったようで、消費者側も期待値が高まる。
そして、シェフたちは「長年お客様として、セブン&アイ・フードシステムズの小松雅美社長が来店していた」と話していた。中には素性も知らず、よく来店されるお客様から声をかけていただいて、びっくり。社長さんでしたか! というシェフもいた。
つまり小松社長は普段からさまざまなレストランに足を運び、この商品開発に賛同してもらいたいレストランを厳選し、自ら声をかけたということだ。心の中で「小松社長、素敵なレストランを選んでくださってありがとうございます!!」と感謝しつつ、小倉シェフにメニュー開発で苦労した点を伺った。
一番難しかったのは”温度”
『Regalo』とデニーズではキッチンの仕様が違うため、さまざまな苦労があったが、その中で特に難しかったのは”温度”だと言う。調理するうえでパスタの茹でる”温度”は重要だ。
また、本企画の料理は”熱々を提供する”ことを念頭に置いていた。それは、小倉シェフも同じ思いを持っていて、”提供する時の料理の温度”も重要視。それらをシステム化して全店舗に伝え、同じように作って提供する。さらに今回はコース仕立てでの提供のため、よりオペレーションが難しい。それらの問題を開発チームと試行錯誤しながら乗り越えたそうだ。
【実食】第1弾『レガーロ』小倉シェフ監修メニュー
第1弾『Regalo」は、炭火焼きとパスタがスペシャリテのイタリアンレストラン。2008年9月富ヶ谷に『REGALO』としてオープンし、2014年4月参宮橋に移転。2017年にミシュランの一つ星を獲得した。
私は富ヶ谷の『REGALO』時代に訪れたことがあり、その時トマトソースパスタがとてもおいしくて感動したのを覚えている。
現在はレストランだけでなく、イタリアンの道に進む料理人に向けて動画でロジカルに料理を教えるYouTube(https://www.youtube.com/@regalo_ogura)も大人気。視聴者は男性がほとんどで、このYouTubeをきっかけに料理を始めたという男性も多いのだとか。また、レシピ本も出版しており、こちらは小倉シェフの料理の哲学も知ることができて読み物としても興味深い。
監修メニューは、写真の「シェフのおすすめコース」(1969円)として提供される。ほか、パスタとサラダまたはスープが選べる「シェフのおすすめセット」(1694円)も用意。今回は「シェフのおすすめコース」を試食させていただいた。
サラダは「ローストポークスライスとルッコラのインサラータ」。「インサラータ」とはイタリア語でサラダという意味。バジルドレッシングの香りが爽やかなルッコラと、旨みが凝縮されたローストポークに、ライ麦パンが添えられている。
ドレッシングはバジル感がさほど強くないので、苦手な人でも食べられるだろう。ローストポークは程よい塩味で、とても柔らかく子どもにも喜ばれそうだ。
スープの「卵と玉ねぎのズッパ」は、『デニーズ』のオニオンスープをベースに、卵とチーズを乗せて焼き上げ、アーモンドスライスをトッピングしている。
とにかくお皿もスープも熱々! スライスしたアーモンドが食感と風味のよいアクセントとなっている。また、かきたまのようなふわっとした卵がボリュームを増し、満足度アップ。レギュラーメニューにしてほしいくらいおいしい!
「スパゲッティ 海老のマリナーラ」は、トマト本来の味わい深い風味をアンチョビの旨みで引き立てた特製ソースを使用。『レガーロ』の味をかなり再現できている。
小ぶりながらもプリっとしたエビが入っているし、このクオリティで1419円(単品での価格)は驚きだ。レガーロファンのみならず、多くの方にぜひ食べていただきたい。
小倉シェフの言葉通り、何度もリピートしたくなるおいしいパスタで、ワインと一緒にゆったり味わいたい。
食育の意味でもファミリーでぜひ食べてほしい
デニーズのターゲット層は20~40代の女性らしいが、3人のスターシェフの支持層を考えると、もっと上の世代や男性客も増えるだろう。そして若い人たちも、デニーズでスターシェフを知り「いつかお店を訪れたい」「こんなシェフになりたい」といった憧れを抱くのではないかと思う。
そしてもうひとつ思ったこと。
3店舗とも子連れで行くにはハードルが高いが、”私の街のデニーズ”なら気軽に行ける。
フランスでは4歳からナイフとフォークで食事をし、給食もコース式で前菜から順に運ばれてくるそうだが、今回の「デニーズ50周年記念メニュー」ならそれが体験できる。
老若男女に愛されるファミリーレストランだからできる、『デニーズ』から広がる素敵な食育の機会。何とありがたいことだろう。ママ友にも教えてあげたい。
今後続く原田シェフ、古屋シェフのメニューも今から楽しみだ!
取材・撮影/田村佳奈子
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