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“ベトナムの京都”フエで「ベトナム王朝」に触れる

「ベトナムの京都」と称される、古都フエは車でダナンから北へ約2時間。ベトナム最後の王朝、グエン朝(1802〜194年)をはじめ、3世紀にわたり3つの王朝の首都が置かれた場所で、時間に余裕があれば、ぜひこちらも訪れたいところだ。1993年、「フエの建造物群」として、ベトナムで初めて世界文化遺産に登録された。

1802年から1945年まで、ベトナム最後の王朝・グエン朝が置かれた「グエン朝王宮」。海へのアクセスが容易なことなどから、南シナ海に注ぐ香江のほとりに建設された、ベトナムの封建制時代の首都であり、世界遺産「フエの建造物群」を代表する存在だ。

フエはベトナム戦争の激戦地だったため、戦禍で多くの建物が破壊されたが、その多くは修復され、約3.6 平方キロメートルの広大な敷地内には宮廷文化を今に伝える建築物を目にすることができる。

「グエン朝王宮」内の「長安門」

「グエン朝王宮」は、中国・北京の紫禁城をモデルに造られており、高さ約7メートル、周囲約2.5キロメートルの城壁が取り囲み、その敷地内は、正午に太陽が真上に来るように設計された王宮の正門「午門」や「王宮庭園」、黄金の龍が佇む「紫禁城」など、見どころの宝庫だ。

「アンディン宮殿」はアンクー川のほとりにある木造建築の宮殿だ。1917年、ベトナム最後の皇帝で、あったグエン朝12代皇帝のカイディン帝が西洋風に改修し、ここで暮らした。20世紀初頭のベトナムの新古典主義建築を代表する建築物で、こちらもユネスコの世界文化遺産に登録されている。

「アンディン宮殿」

グエン朝皇帝のお墓の壁画に「日本のビール瓶」が!?

アンディン宮殿から車で約15分のところには、前述のグエン朝12代皇帝の墓「カイディン帝廟(びょう)」がある。こちらも世界遺産「フエの建造物群」の構成資産だ。

フランス文化に傾倒していたカイディン帝は、西洋のバロック建築とベトナムの伝統装飾が融合した華やかな陵墓(りょうぼ)を作るよう命じたと言われている。

「カイディン帝廟」。ベトナム・中国様式とフランス様式が巧みに取り入れられている

また、カイディン帝はビールをこよなく愛したことでも知られ、建物の内部には日本のビール瓶のかけらがはめ込まれた壁画もある。……そんな話を聞くと、ビールが飲みたくなってしまうではないか!

壁面には、ガラスの破片を用いたアートが施されている。廟を正面から見て左の壁には破片で描いた梅のアートがあり、木の幹や枝の部分には、大正から昭和初期に親しまれた日本の瓶ビール(さくらビール)の破片が使われている!

フォン川を一望できる丘の上にある「ティエンムー寺」は、1601年に建立されたフエで最も古い寺院のひとつだ。境内には高さ21メートルの八角形のトゥニャン塔(パゴダ)がそびえ立つ。夕暮れ時に訪れると、地元の人たちが川っぺりに腰をかけ、ジュースやビールを飲みながら寛いでいた。

「ティエンムー寺」

いま行くべき街、ダナン

ビーチリゾートあり、宮廷文化あり、そして何より食事が楽しいベトナム中部の旅。一度や二度ではとても味わい尽くせないが、わずか2時間の時差、5時間のフライト時間と、思い立ったら気軽に行けるというシチュエーションが心強い。そして、個人的にはベトナムはやはり食が楽しいな、まったく食べ飽きないぞと、改めて思った。

帰路のフライトもほぼ満席だった。旅慣れた人たちは、今どこに行くべきかを、きちんと理解しているのだ。

文・写真/長谷川あや

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長谷川 あや
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