東京の“ちょいと”贅沢寿司4軒 つまみも握りも大満足のコースで至福の時間を!

席数を絞ったお店で、つまみと握りのコースを堪能。月に一度の贅沢に、至福の時間を過ごしましょう。 既成概念を打ち破る“新しい寿司屋”誕生『鼓(つづみ)』@武蔵小山 子供の頃から料理が好きだった少年は、大人になって寿司職人に…

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席数を絞ったお店で、つまみと握りのコースを堪能。月に一度の贅沢に、至福の時間を過ごしましょう。

既成概念を打ち破る“新しい寿司屋”誕生『鼓(つづみ)』@武蔵小山

子供の頃から料理が好きだった少年は、大人になって寿司職人になった。経堂の人気店で16年腕を磨き、独立の際に選んだのが生まれ育った目黒区。「地元への恩返しがしたかった」。

少年とは、昨年4月に開店した『鼓』の店主、谷本竜也さん。店名は長年続けていた和太鼓から付けたそうで、凛とした所作もその影響か。緩やかな弧を描くカウンターは数人で来ても話しやすく、どの位置からも彼の技を楽しめる最高の特等席。陣取れば驚きと感動が待っている。

「鼓」コース 13200円 ※内容は季節や仕入れで変わる

『鼓(つづみ)』「鼓」コース 13200円の一部 ※内容は季節や仕入れで変わる (左から)ソイ、甘海老、鰺、秋鮭、白イカ 繊細な包丁目を入れたネタ

「鼓」コースは17品前後と贅沢かつ充実の内容。口上は胃にやさしい野菜のすり流しから始まる。次に旬の肴、自家製アメリケーヌソースを添えたフライといった寿司屋らしからぬ独創的な品々も。緩急に満ちた構成は「新しい寿司屋」を目指す革新的な姿勢の表れだ。

一方、握りは緻密な伝統技の結晶。大事にするのはバランスで、自ら豊洲で仕入れる至高のネタ、それを生かす仕込み、包丁目、シャリの味、すべての仕事に気を配る。ちなみに最後に小肌を出すのは爽やかに〆てほしいからだそう。真摯な味の演目、粋なおもてなし……『鼓』の舞台は、心に響く。

『鼓(つづみ)』

[住所]東京都品川区小山4-2-3 ザ・シティ武蔵小山3階
[電話]03-6426-9015
[営業時間]17時~23時(22時LO)
[休日]月
[交通]東急目黒線ほか武蔵小山駅東口から徒歩3分

若き大将の全力投球つまみと握りが織りなす 流れるようなコース『おたや』@野方

初めて訪れる寿司店のカウンター席。中に立つ店主・御旅屋(おたや)さんのどこかあどけなく人懐っこい笑顔と、食べるのが大好きと主張する容姿を見て、ここは当たりだと確信する。店のオープンは今年の4月。「来てくれたお客さん全員としっかり向き合いたい」とカウンター7席のみの造りにした。

満足!満腹!全22品のコース 8800円 ※時期や仕入れで内容は変わります

『おたや』満足!満腹!全22品のコース 8800円の一部(赤身) ※時期や仕入れで内容は変わります 赤身は天身と呼ばれる上質な部位を使用。

ちなみに料理もその時々のおまかせコースのみで、コースの序盤にやってくるのが「本鮪の山かけ」から始まるつまみの数々だ。江戸前伝統の湯霜漬けにした本鮪はほどよく味が沁みて日本酒を誘い、オイルに浸しながらじっくり蒸したアワビの柔らかな身に気分も徐々に盛り上がる。石川芋を蒸したのでひと息ついたら、ここからは握りのスタートだ。

イカや白身などの淡い味わいのものから茶碗蒸しを折り返し地点にしてトロや北寄貝といった味も香りも濃いネタへと流れるように移行していく。元は社会人ラグビー選手という御旅屋さんのごっつい手から生み出される寿司は小ぶりで非常にデリケート。

やや強めに赤酢を効かせたシャリを舌に乗せればたちまち心地良くほどけてくれる。最後のお椀にたどり着いた頃にはすっかり心を絡め取られ、次のシーズンのネタを楽しみに再訪を誓うことになるはずだ。

『おたや』今年4月にオープン 雑居ビルに佇むカウンター7席の新店

[住所]東京都中野区野方5-3-1 野方ウィズ205
[電話]03-5356-7316
[営業時間]2部制/17時~17時半のスタート、20時~20時半のスタート
[休日]不定休
[交通]西武新宿線野方駅南口から徒歩3分

隠れ家で堪能する五感に響く旨さ『鮨おにかい』@中目黒

古民家の細い階段を2階に上がると、そこにカウンター10席だけの暖かい空間が広がっている。旧来の寿司屋で本格的な寿司をつまもうと思うと、どこか緊張感を覚えるものだが、ここではその必要はない。安心して委ねればいいのだ。

つけ台を挟んで向こうとこちらがほぼフラットな視界のひらけたカウンター。程よい距離感で言葉を交わしながら、一品ひと品何が来るのかワクワクしながら待てばよい。料理は3つの小鉢と15貫の寿司で構成される「おまかせコース」だ。

おまかせコース 11000円(にぎり15貫・全18品)

『鮨おにかい』おまかせコース 11000円(にぎり15貫・全18品)の一部 握りは1貫ずつ提供される。握ったり巻く前にネタを見せてくれたり、たとえば〆サバは目の前でスモークしてくれたり、プレゼンテーションも楽しみだ。本日のマグロは大間の本マグロ、大トロはオーストラリア沖の南インドマグロ

吟味され木箱に納められたネタはどれもしっかり仕事されているのがわかるが、まず驚くのはマグロだ。豊洲の卸直の一級品。寿司の最初の一品には赤身、中トロ、大トロの3つを重ねて一気に巻いたものが登場するが、いきなりの洗礼に悶絶するのは間違いない。長期熟成した赤酢と米酢のブレンドで、わりと酸味の効いたシャリがまたマグロの旨みを引き立てる

江戸前をベースにひと捻りされたプレゼンテーションはもちろんまだまだ続く。びっくりするほど甘く、柔らかい苫小牧の北寄貝やみずみずしい白イカには、細かく包丁が入って食感も絶妙。鮮度と後を引く余韻が印象的でなかなかお目にかかれない生ニシン。風干しして皮目だけ軽く炙ったカマスは味が引き出されてふっくらしている。仕事する手元を眺めるのも楽しい。目で舌で、五感で味わう寿司の醍醐味と奥の深さをじっくりと堪能できるはずだ。

『鮨おにかい』

[住所]東京都目黒区上目黒2-18-11 2階
[電話]03-3714-9888
[営業時間]12時~14時、18時~、20時半~(二部制)
[交通]東急東横線ほか中目黒駅南改札から徒歩5分

“一期一会”に込めた想いをコースで堪能『鮓 伊保(いほ)』@本郷三丁目

寿司屋にはいろいろなタイプがあるが、ここは“誰かを連れて行きたくなる店”である。まず雰囲気がいい。カウンター5席のこぢんまりした空間。といっても窮屈さは微塵もなく、むしろゆったり座れてかなり快適。ほどよい距離感のある店主の接客も手伝い、不思議な親密感が生まれて実に心地よいのである。そして何より味がいい

おまかせコース 11000円 ※内容は季節や仕入れで変わる

『鮓 伊保(いほ)』おまかせコース 11000円の一部 ※内容は季節や仕入れで変わる (奥から時計回りに)穴子、漬けマグロ、白エビ、お椀 穴子は一尾を贅沢に使い、塩と煮詰めの両方を味わえる

ネタは、店主が長年付き合い信頼を築いた豊洲の仲卸から仕入れる極上品ばかり。それを、「どう調理したら旨くなるのか」をとことん突き詰め、素材に真摯に向き合い、本来の味を最大限に引き出す。

酢や塩の加減は元より、包丁の入れ方、〆具合、シャリの温度もネタによって変えるという力の入れようだ。シャリはコシヒカリを極限まで固めに炊き、赤酢を中心に数種をブレンドした酢を合わせて食べやすく仕上げる。

それらがすべて、その時のネタとの一期一会の出合いとなり、30年間培ってきた職人の技、熱い想いとともに1貫の握りとして結実する。その旨いことといったら!清々しい味わいの小肌、口の中でとろける中トロ、ねっとりした漬けマグロなど、食すごとに感動しきりだ。

つまみ5品、握り8貫、お椀で構成されるおまかせコースを食べ終える頃には胸がいっぱい。ああ、次は誰を誘って訪れようか。そう思わずにはいられなくなるはずだ。

『鮓 伊保(いほ)』店は店主がひとりで切り盛り。仕込みからすべて1オペなので「味にブレがなくなります」と店主。4名以上なら貸切で利用できる

[住所]東京都文京区本郷5-4-5 菊ビル1階
[電話]03-5844-6788
[営業時間]14時~23時(21時LO)
[休日]不定休
[交通]地下鉄丸ノ内線ほか本郷三丁目駅3番・4番出口から徒歩6分

撮影/貝塚隆、取材/肥田木奈々(鼓)、菜々山いく子(おたや)、池田一郎(鮨おにかい)、松田有美(伊保)

2023年11月号

※2023年11月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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