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時を忘れさせる風雅な蕎麦懐石と古民家の風情 『惠土(えど)』@葉山

1品目の蕎麦豆腐からして心奪われた。大根おろしの下に角切りのそれがお宝のようにザックザク。そして八寸。風雅な味はもう永遠に酒が飲めそうだ。ほくそ笑んでいると古民家の庭から秋の虫がリンリンリン……ココはどこ、私はダレ?失礼、のっけから恍惚としてしまいました。

時を1時間半前に戻そう。東京から電車で逗子駅へ、そこからバスで約10分。美しい海岸線を目にすればさっきまでの喧噪が嘘のよう。そう、ここはリゾート地としても人気の葉山。で、冒頭の続きである。

メニューは蕎麦懐石のみ。8品からなる構成は小さな驚きの連続だ。「華美でなく素朴なおいしさを心掛けています」とは店主の惠土靖さん。閑静な町に店を構えて5年。蕎麦と共に旬の味を楽しませる。その蕎麦がまたすごかった。

蕎麦懐石 お昼の店主お任せコース 6600円(内容は季節や仕入れで変わる)

『惠土』の「蕎麦懐石 お昼の店主お任せコース」(内容は季節や仕入れで変わる)6600円の一部。(奥)手挽きせいろ (手前)天然ナラタケのかけ蕎麦 基本的に昼は温・冷の2種。もり汁は2週間寝かせ味を馴染ませる。夜(11000円)は昼の構成をベースに平打ちが加わるなど品数が変わる

1年寝かせた「常陸秋そば」を石臼で何と手挽き。それは細く長くたおやかで、挽きぐるみの力強い穀物香、甘い余韻。手挽きにするといい意味で粉が均一にならず、風味と食感に微妙な変化が出るのだそう。

一途な姿勢の味はもとより、妻の智子さんの気さくなおもてなしもこの店の魅力。夫妻合作の「惠土」は、葉山を目指す理由となる名店だ。

『惠土(えど)』

[住所]神奈川県三浦郡葉山町堀内870-7
[電話]046-876-3625
[営業時間]12時~15時、18時~22時
[休日]木・金
[交通]JR逗子駅から京浜急行バス(海岸回り)で約10分、元町バス停下車徒歩5分

撮影/西崎進也、取材/肥田木奈々

2023年12月号

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2024年1月号

※2023年12月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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