【連載を終えて】「学問に王道なし」人生に一度きりの中学受験
連載が始まって約3カ月、志望校の合格ラインに達していない生徒が「逆転合格」を果たすにはどのように勉強すれば良いかについて述べてきました。「学問に王道なし」と言われるように、奇をてらった勉強は何もありません。受験勉強の要諦を一言でまとめると、現状を正しく把握し、どの時期にどのような勉強を行うか、段階を踏んで進めること。ただそれだけです。
入試に定員がある以上、必ずその定員(合格者)の中に入れた人と、そうでない人とに分かれます。たった1点の違いでも合格者と不合格者に分けられるのが入試です。それだけでもシビアなのですが、以前述べたように、中学受験の機会は人生に一度きりしか与えられません。したがって、その結果を後から塗り替えることは出来ません。
まだ小学6年生という年代でその結果を受け止めなければいけないわけですから、中学受験はある意味、非常に過酷な競争だと言えます。
中学受験を経験した時点で「すでに成功」
しかし、人生で貴重な体験であることも間違いありません。私自身を振り返っても、中学受験が、一番必死に勉強した時期だったと思います。大学受験を経て今に至るまでも、その後の勉強や仕事の仕方や取り組み方に影響を及ぼしています。
全国の同年代の小学生の中で、中学受験をする生徒たちはごく一部です。中学受験の勉強をした生徒としなかった生徒とでは、明確に学力の差が認められます。もし、中学受験の勉強をしていなかった子どもさんを想像し、比較してみればお分かりになると思います。したがって、中学受験生の学力は、同年代の小学生の中では上位にあります。その意味で、遊びたい盛りの小学生が、仮に嫌々ながらであっても中学受験の勉強に取り組み、やり遂げたこと自体が、すでに成功と言えます。
ただ、ここまで頑張ったのですから、最後まで第一志望の合格を目指し、努力の集大成を入試にぶつけて欲しい、試験終了のブザーが鳴るその瞬間まで闘いきって欲しいと思います。結果がどちらであっても、大きな成果を掴み取れるはずです。そう強く信じています。
圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。