幻の3番線ホームが大衆酒場に変身!
JR両国駅には、普段立ち入れない“幻の3番線ホーム”があるのをご存知だろうか。
1番線と2番線の北側にある3番線は、かつて両国駅が房総方面へのターミナル駅だったときに利用されていた。その後、急行や特急の廃止を乗り越えて新聞輸送列車が走っていたが、2010年に終了。現在は団体列車や臨時列車の発着やイベント時に開放され、基本的には開かれていない。
今回もそのイベントのひとつ。幻のホームに入ることができる貴重な機会というわけだ。しかも、お酒まで呑めるというからたまらない。
前からこのイベントを知っていて興味はあったが、いつのまにかはじまっていて、いつのまにか終っているので、行けずじまいだった。しかし、今回は開催情報をキャッチ。取材でお邪魔できる幸運に恵まれた。
入場したら飲食キットを受け取り、フードブースで「おでん」と「したらば」をいただく。
ホームには赤ちょうちんがぶら下がっていて、昭和レトロな酒場を思わせる。ホームの上家(うわや)を支える梁も趣があっていい。古いレールを曲げ曲線を描いているらしい。美しい。
明治期のレールに使われた鉄は質が高く、レールとしての使命を終えると、こちらのホームの上家のように建築資材として活用されたそうだ。
閑話休題。飲食キットを受け取ると、左手には10の酒蔵が立ち並ぶ「熱燗ステーション」、右手には立ち飲みスペースがあり、奥に目をやれば通常のテーブル席、さらに奥にはこたつ席がある! 今回はひとりなので、念願のこたつ席はあきらめ、熱燗ステーションと対面していて動きやすい立ち飲みスペースに陣取る。
ここだと1、2番線のホームを眼前に臨めるので、電車を見ながら一杯やれる。しかも、頭端式ホームだから見上げるように電車が見られる。これがホントの“呑み鉄”ってか!?
さて、トレイにのっていた紀文さんのレトルトおでんをパックから取り出し、カップに入れる。温かい状態でいただけるので、ほかほかである。
では、今回のお目当て、熱燗をいただくとしよう。呑めるお酒は、世界で唯一の温めておいしい日本酒を選ぶコンテスト「全国燗酒コンテスト2023」で入賞を果たしたもの。そのおいしさは折り紙付きだ。
お酒と引き換えに渡す試飲券は10枚綴り。全10蔵制覇するもよし、気に入ったお酒があればリピートするもよし。自由だ。私は全制覇を目指す。