スープ切れが続き、営業時間は15時までに
その頃は18時まで営業していたのですが、あまりにも繁盛し、毎日スープ切れが続くようになり、昭和61(1986)年には千草食堂から現在の屋号となる“らーめんの千草”に変更し、営業時間も15時までとなりました。
そして三代目となる遠藤圭介さんが、平成10年頃から店に入るようになり、現在に至ります。三代目の圭介さんは2004年のラー博出店時の責任者として腕を振るっていただきました。
唯一無二の純鶏スープ、ラーメン1杯に鶏を半分も使用
ラーメンのスープに使われているのは丸鶏と鶏ガラのみ。
一般的にラーメンに使用される、ネギ、生姜、にんにくといった香味野菜までも一切使用しない鶏純粋のスープ。そのスープの決め手は、使用されている鶏にあります。
一般的にラーメンに使用される鶏は、生後45~55日で出荷されるブロイラーですが、千草で使用される鶏は生後550~700日で出荷される生産量の少ない青森県産大型鶏です。飼育日数が長いため余分な肉がつかず赤身が多く、ブロイラーに比べ旨み成分も約1.5倍も含まれており、その旨みがスープのコクとなるのです。
丸鶏の肉の部分とガラを別々の寸胴でとり、濁らないよう「微笑むような火加減」でじっくり煮込み、最後にブレンドをします。スープに使用される鶏の量は想像を絶する約150羽分の鶏(300前分)。提供されるラーメンの丼1杯にはなんと、約0.5羽の鶏が使用されているのです。
鶏の旨みが凝縮したスープは、どこか懐かしく、優しい香りがします。
しかし、今まで食べた事のあるラーメンとは違った珍しい香りでもあります。その正体はスープの表面にキラキラ光る黄金色の”鶏油”です。
スープは透明感の高い澄んだ薄い醤油色。香りとのマッチングは申し分ありません。
原点回帰、初代の味が復活
三代目の圭介さんは今回の出店において、75周年を迎え、原点回帰として初代の頃の味を再現するとのこと。その理由を聞くと、古い常連さんから「あの頃のラーメンを味わいたい」という声が年々増えてきていて、自分でも初代の頃の味はどういうものなのか?という興味と、自分でも作ってみたい、食べてみたいという想いになったとのことです。
圭介さんは、初代の味を知るべく、二代目の勝さんや常連さんから初代の味について聞き込み、研究に研究を重ねました。
圭介さん曰く「大きく作り方が変わっているわけではありません。今の味が優しい味なのに対して、昔の味は今よりも輪郭のあるラーメンで、ほとんどの人がライスを頼むほど、ライスが欲しくなる味わいだったことが分かりました」
では具体的にどのように作り方が違うのか?圭介さん曰く「具体的にはスープの火加減や、鶏油の量だったりと微妙な差ではありますが、完成したラーメンはやはり今のものとは印象は変わります」とのことです。