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2023年5月の地震でも被災、北陸新幹線開通に向け頑張っていたのに…

2023年5月にも、能登では最大震度6を観測する地震があり、能登の酒蔵に被害が出た。ただ、2024年3月16日には、北陸新幹線の金沢~敦賀(福井県)間の開通が控えていた。モノや人の流れが増えるこのタイミングを逸してはいけないと、各酒蔵はお金をかけて修復し、酒の仕込みを始めていた。元日の地震は、そんな時に起きた。

能登の酒蔵は、輪島の朝市観光に来る客をメインとするような、地元で消費される量を作っている小規模のところが多い。昔ながらの土蔵・木造という設備のままの酒蔵は少なくなく、今回の地震で全壊してしまった。

とにかくお米をお酒にして、お金に

「酒造りをスタートするタイミングだったため、蔵にはたくさんのお米がありました。酒造りが一旦止まってしまったので、お米をそのままにしておくと負債しか残りません。それでは再建は望めない。そのお米を少しずつでもお酒にしてお金に換え、能登の蔵元の安定的な収入源にすることが大切。地元で再建できるかわかりませんが、とにかくお金を貯めて、いいスタートが切れるようにという思いでやっています」

震災後2週間ほどは、再建はもう考えられないと諦めている酒蔵がいくつかあったのだという。吉田さんは、「このプロジェクトで、多くの人の応援があったおかげで、再建に向けてなんとか気持ちを立て直せました」と話す。

松波酒造×土田酒造の酒造りの様子

共同醸造は3月から一部の酒蔵で既に始めている。松波酒造(能登町)×土田酒造(群馬県川場村)、数馬酒造(能登町)×吉田酒造店など。『Makuake』のサイトには、プロジェクトの進捗状況が随時更新され、4月11日のレポートでは、「約1000kmの距離を超えた技術交流」として、鶴野酒造店(能登町)×福田酒造(長崎県平戸市)の仕込みの様子がつづられている。

5月17日~19日、東京・渋谷のイベントで、その“一杯”が飲める!

共同醸造された日本酒は、まもなく飲める。

2024年5月17日から19日にかけ、東京・渋谷の4階建て公園&商業施設「MIYASHITA PARK」で開催される「SAKE PARK3杯」。この日本酒・クラフトサケの飲み比べイベントで、共同醸造された日本酒が飲めるブースが出店予定となっており、いち早く味わうことができるのだ。

日本各地の30酒蔵が集まる「SAKE PARK」

酒屋でこれまでも能登の酒を置いてくれるのか

一時は絶望的だった今年の酒造りに光明が差した。しかし、まだ、大きな課題が残る。なんとしても確保しなければならないのが、商品の流通先だ。

「酒屋さんで、お酒を売るスペースは限られています。これまでは能登の銘柄を置いていたとしても、入荷がなくなると、新しい取引が始まらざるを得ません。数年後に復活したときにまたお願いしますと言っても、新たな関係性を構築する必要があります。お酒を造ったはいいけれど、どこに売ればいいかという問題が生じるわけです。今回の企画を通して、ご協力くださっている県外の蔵元さんの流通力をお借りしたいという思いもあります」

能登の蔵人は各蔵に武者修行的に出向き、それぞれの叡智を伝え合っている
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東日本大震災で被災した蔵元からのエール...
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市村 幸妙
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