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気の利いたつまみできゅっと一杯、はあ、たまらんですな~。昼飲みや夕暮れ飲みにぴったりなのがゆるりと飲んで、つるりと〆る蕎麦前。吟味された定番もいいし、旬の味を丁寧に仕上げた料理もいい。『おとなの週末』スタッフが自信をもっておすすめする蕎麦前の逸品をご紹介。

【ライター・菜々山いく子推薦!】『蕎麦 孤丘(こきゅう)』そばがき(大) 1500円 @埼玉・与野

蕎麦粉の滋味を引き出した力強く繊細な味

器に張られているのは二番ダシ。鰹節の香りに誘われて、気持ち良さげに浮かぶそれを口に含んだ瞬間、目を見張った。つきたての餅のような弾力ある食感から、大地の香りが鼻を抜け、ふくよかな甘みがじんわりやってきた。しかも味は濃く、どこまでも深い。ダシの軽やかな風味だけで塩や薬味も要らぬほど蕎麦の滋味に満ちていた。

そばがき(大) 1500円

『蕎麦 孤丘(こきゅう)』そばがき(大) 1500円 冷めにくいよう、一般的には蕎麦湯を張るが、こちらは温めた二番ダシを使うのが特徴的。ダシの香りに負けぬほど蕎麦の香りも鮮やかだ。藻塩、ワサビ、鰹節の旨みを持たせたかえしが付く

これを作るのがさいたま市にある『孤丘』。茨城県筑西市の契約農家が育てた常陸秋そばのみを使用し、店の隣に併設した製粉所で微粉、粗挽き、そしてクラッシュ状の超粗挽きと石臼で3種に挽き分けブレンドする。たおやかな表情と芯のある力強さがひと口に集約した、これぞそばがきの傑作だ。

『蕎麦 孤丘』

[住所]埼玉県さいたま市浦和区上木崎1-11-12
[電話]048-762-3167
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、18時~21時(20時半LO)、日:11時半~16時(15時半LO)
[休日]月、第1・3火
[交通]JR京浜東北線与野駅西口から徒歩3分

【ライター・肥田木奈々推薦!】『銀座 よし田』玉子焼き 880円 @銀座

まばゆいほどのふっくら黄色は酒を誘う関西風

『よし田』といえば鶏の揚げしんじょを乗せた「コロッケそば」が看板だが、つまみにも不朽の名作があるのをご存じか。

羽毛布団を折り畳んだようなふくよかな姿はパッと場が華やぐ明るい黄色……あぁたまらん。玉子焼きである。

「甘くない味がうちの特長」とは91歳の3代目女将、矢島一代さん。これがふわっふわ、関西風ダシのやさしい味が酒を呼ぶ

玉子焼き 880円

『銀座 よし田』玉子焼き 880円 ふっくら仕上げるにはこまめに10回以上巻くのが秘訣だとか。「常連だった作家の久保田万太郎さんも玉子焼きがお好きでした」と3代目女将。大根おろしをたっぷり添えて味わう。個人的にはぬる燗で。やさしいダシの味と辛口の酒が共鳴し合う

日本酒は菊正宗一択だ。「白洲次郎さんや吉田健一さんもお酒を酌み交わしながら声高にお喋りして」なんて聞けば、彼らも味わったであろう逸品で今飲める贅沢に感激。

加えて老舗の懐の深さを感じる品書きの多彩さ、親しみやすさよ。財布を気にせずあれやこれ。お銚子が増えていく。

『銀座 よし田』

[住所]東京都中央区銀座6-4-12 KNビル2階
[電話]03-6264-5215
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時~22時(21時半LO) ※土・祝の夜は~21時(20時半LO)
[休日]日
[交通]地下鉄銀座線ほか銀座駅C3出口などから徒歩3分

【編集・門脇宏推薦!】『蕎麦前ごとう』合鴨炭火焼 3000円 @東京・代官山

軽やかなソースが合鴨の旨みにすっと寄り添う

目の前に登場した瞬間、かぐわしい香りに鼻腔が刺激された。炭火でじっくり火入れされた合鴨には本ワサビがパラリ。白レバーと新玉ねぎのペーストにたまり醤油がかけられたソースは、合鴨の旨みを増幅しつつもくどさはなく余韻は軽やか。新玉ねぎがいい仕事をしているようで、フレッシュな果実味が心地良い山梨のロゼとバツグンの相性を見せる。

合鴨炭火焼 3000円

『蕎麦前ごとう』合鴨炭火焼 3000円 合鴨の軽快な旨み、白レバーのコク、新玉ねぎのみずみずしい甘み、たまり醤油の風味が渾然一体となったひと皿。ワインはマスカットベーリーAと甲州から造られた、山梨の98ワインのロゼ。1100円。フレッシュかつピュアな果実味が合鴨と響き合う

同店の品書きは目の保養である。品書きを眺めるだけで飲めそうだ。たとえば春のある日。「イイダコ含め煮とウルイのお浸し」「ホタルイカとグリーンピースの茶碗蒸し」……思わず笑顔がこぼれるというものだ。キレのある旬の料理で一杯やって、みずみずしい蕎麦で〆る。嗚呼、至福。

『蕎麦前ごとう』

[住所]東京都渋谷区代官山町11-12 日進ヒルズ代官山2階
[電話]03-6427-8308
[営業時間]11時半~15時(14時LO)、17時~22時(21時LO)
[休日]火、不定休あり
[交通]東急東横線代官山駅北口から徒歩5分

撮影/貝塚隆、取材/菜々山いく子(孤丘)、肥田木奈々(よし田)、門脇宏(蕎麦前ごとう)

2024年5月号

※2024年5月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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