円安を背景とした原材料費の高騰もあり、国産乗用車の値上げが止まれない。同様に、円安の影響をもろに受けるのが輸入車だ。海外のメーカーはもちろんのこと、国産メーカーの海外生産車にも大きな影響がある。そもそもコストを下げるための海外生産だったというのに、想定より大幅に価格が上がってしまっている。輸入車は、しばらく買い控えた方がいいのだろうか?
そもそも各メーカーの新車の値上げが止まらない
最近は新車の値上げが頻発している。直近では、ホンダが2024年6月に、N-WGN、N-ONE、ステップワゴン、ZR-Vの価格を改訂した。ホンダのこの4車は、改良を伴わない単純な値上げだが、改良時の値上げは頻繁に行われている。改良の前と後で価格を比べると、機能の向上以上に値上げ幅が大きい。
値上げの理由はさまざまだ。原材料費や輸送費の高騰が大きな影響を与えるが、今でも一部の車種に残る納期遅延も見逃せない。納期が遅れていると登録台数も下がり、なおかつ車種によっては、価格が多少高くても購入してもらえる。そのために需要が集中する人気の高いSUVなどは、価格が高まりやすい。
そして最近は、原材料費や輸送費の高騰に加えて、円安傾向も加速してきた。円安になると輸出する時は有利だが、輸入車の価格は高騰する。最近は日本のメーカーも、タイやインドの工場で製造された日本車を輸入販売するが、商品企画担当者は「円安は辛い。価格を高めざるを得ない」と口をそろえる。
海外から導入するWR-Vなどの車体価格に大きな影響
例えばホンダがインドから輸入を開始したWR-Vは、最も安価なXが209万8800円だ。本来なら最廉価グレードの価格は、200万円を下まわる設定にしたかったようだが、円安の現状では難しかった。またスズキは、インドからフロンクスの輸入を検討しているが、これもWR-Vと同様で「190万円台の価格を実現するのは今は難しい」と言う。
そして円安傾向の影響を最も強く受けている車種が海外メーカー製の輸入車だ。従来と同じ価格では利益が大幅に減る。そこでVW(フォルクスワーゲン)は、2024年3月1日以降、主力車種を中心に値上げを行った。