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駅弁は好まれたが、アイスは・・・・

お召列車の旅を好まれた昭和天皇。数あるお召列車での移動中に「駅弁」は召し上がったが、氷菓子は私が調べた限り見つけることはできなかった。1960(昭和35)年以降のお召列車には「電気式冷蔵庫」は備わっていたが、氷菓子のご用命はなかった。

昭和天皇と香淳皇后が、1970(昭和45)年に走った”お召列車”の車内で召し上がった「ご昼食」の献立(赤枠の中)。デザートには「いちご」よあり、アイスクリームの文字はなかった=宮内公文書館蔵
お召列車に編成される供奉車(ぐぶしゃ)と呼ばれるお付きの人が乗る車両には、供進所(ぐしんじょ)といって、小さな厨房が備えられていた。左が大型電気冷蔵庫(300リットル)と右が電気湯沸かし器(8リットル)=写真/星山一男コレクション(筆者所蔵)

愛子さまのお気に入り

今の皇室の方々は、日常的にアイスクリームを召し上がっていることだろう。もちろん、大正天皇のように列車の中でお召し上がりになったという話は、そう耳にすることはない。そこでまだ、愛子さまが小学生だった頃の話を思い出したので、書き記すことにしたい。

当時、皇太子でいらした天皇ご一家が夏のご静養で須崎御用邸(下田市)へ向かわれたとき、東京駅から特急スーパービュー踊り子号をご利用になった。列車が伊東駅を過ぎてから、アイスクリームをお買い求めになりたいと車内販売にお申し付けがあったという。ところが、当のアイスクリームだけは商品保管上の理由から、途中の伊東駅までしか販売していなかった。このことを、ビューアテンダント(客室乗務員)がお伝えすると、愛子さまはすごく残念そうになさっていたそうだ。

須崎御用邸でのご静養を終え、東京駅に到着された8歳当時の愛子さま=2010年8月8日、東京駅
東京駅のホームに降り立たれた天皇ご一家(皇太子時代)=2010年8月8日、東京駅

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち 日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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