「世界タパス大会」で審査員特別賞を受賞した1番人気のメニュー「鮮魚のパリパリ包み揚げ」(2P 1200円)もハズせない。やわらかな白身魚を小麦粉やトウモロコシから作られた細麺「カダイフ」で巻いたこちらは、一度食べたら病み…
画像ギャラリーインバウンド需要も高まり、最近では世界中から観光客が集まる東京・渋谷エリア。大商業施設の再開発も進み、ここ数年ひと際賑わいを見せている。そんな中、渋谷駅前のスクランブル交差点から道玄坂上交差点までの道玄坂周辺は、しぶや百軒店(ひゃっけんだな)をはじめ居酒屋やバルなどが集結し、昼飲みを楽しむのに最適なスポットだ。今回はこの周辺で人気急上昇中の新店をフードライター視点で案内していきたい。
「廻転鮨 銀座おのでら 息子渋谷店」
「銀座から世界へ」をコンセプトに、3カ国で鮨・天ぷらなどを展開し、ミシュランガイドの星も獲得した「銀座おのでら」が2024年4月、渋谷に、回転寿司業態のセカンドライン「廻転鮨 銀座おのでら 息子渋谷店」をオープンさせた。中心に位置する対面式カウンターには、回転寿司のレーンは設置せずに好みのネタを1貫から楽しめる粋な仕様となっている。職人が目の前で握る握りたての鮨を堪能しよう。
「やま幸 本まぐろ 大とろ」(800円)には、脂がほどよく乗り、口の中とろける食感が味わえる豊洲市場の仲卸「やま幸」の本まぐろを使用。そのほか自家製ネタは、本店とほぼ同じメニューと価格帯で提供を行う。
渋谷ならではの茶目っ気の効いた限定メニューにもぜひトライしてみてほしい。街のシンボルともいえるスクランブル交差点の名前を引用した「渋谷スクランブルロール」(1150円)は、多国籍な人々が行き交う道を彷彿とさせる、数種類の旬の魚介を使用。上にはふわふわのウニやいくらをトッピングし、華やかなビジュアルの一品に仕上げている。
そのほか、魚のこども(イクラのキャビア乗せ、カラスミイカ、卵黄の漬け)を一皿に集めた味わい深い珍味「息子セット」(950円)や、「鮨 銀座おのでら 味噌漬け特製からすみ」を乗せたうま味たっぷりの「カラスミもち」(950円)、鯛わたの塩辛をチーズに合わせた「酒盗ピザ」(400円)など、思わず酒が進むラインナップを昼11時から提供中だ。
ドリンクはビールや日本酒、焼酎のほかスパークリングをはじめとするグラスワインまで揃う。スタイリッシュな和モダン空間で、本格派の江戸前鮨片手に粋なひとときを過ごそう。
■「廻転鮨 銀座おのでら 息子渋谷店」
[住所]東京都渋谷区道玄坂1-3-3 楠本ビル B1階
[営業時間]11時~22時半
[電話]03-6455-0203
[定休日]無休
[交通]京王井の頭線、JR山手線ほか「渋谷駅」徒歩2分
「カルボ渋谷店」
東京・中目黒で圧倒的人気を誇る「スペイン料理Pablo」が2024年3月に大人洋食居酒屋「カルボ渋谷店」を開店し、賑わいを見せている。オーナーシェフの由利拓也さんは、「国際パエリアコンクール」日本大会で2年連続準優勝し、日本代表に選ばれた実力の持ち主。2019年の「全日本タパス選手権」では優勝に輝き、2020年スぺインで行われた世界大会では審査員特別賞を受賞している。
同店で特筆すべきは、一つの鉄板で肉と魚をダイナミックに調理するスペイン料理「プランチャ(鉄板焼き料理)」を提供している点だ。臨場感たっぷりの音と香りを感じながら、目の前で焼き上がる食材を堪能しよう。「プランチャ」の中でオーダーすべきは、渋谷店限定の「ハラミのステーキとフォアグラスペイン風玉葱ソース」(2200円)だ。芳醇な肉汁と自然な甘みのタマネギソースが、ジューシーな牛ハラミや、口の中でとろけるフォアグラのうま味を一層引き立ててくれる。
「世界タパス大会」で審査員特別賞を受賞した1番人気のメニュー「鮮魚のパリパリ包み揚げ」(2P 1200円)もハズせない。やわらかな白身魚を小麦粉やトウモロコシから作られた細麺「カダイフ」で巻いたこちらは、一度食べたら病みつきになるザクザクとした食感が魅力だ。下に敷かれたトリュフ風味のタルタルソースの濃厚な味わいが、贅沢な気分を盛り上げてくれる。
自家製のレモンチェッロ(レモンのリキュール)をサワーに仕立てた爽やかな「カルボサワー」や、季節のフルーツを丸ごと使用し、フルーティーに仕上げた「そのまんまサワー」など、ドリンクはオリジナルサワーがいちおし。そのほかビールやワイン、オリジナルカクテルなど、充実のラインナップとなっている。
■「カルボ渋谷店」
[住所]東京都渋谷区道玄坂1-16-15 道玄坂NKビル1階
[営業時間]11時~22時半
[電話]03-6416-3224
[定休日]無休
[交通]京王井の頭線、JR山手線ほか「渋谷駅」徒歩2分
「ミッケラー東京」
昭和の香り漂う飲食店街「しぶや百軒店」の「千代田稲荷神社」の向かいに位置する「ミッケラー東京」は、デンマーク発のクラフトビール界の巨匠、ミッケル・ボルグ・ビャーウスさんが手がける、異国情緒漂うクラフトビアバーだ。常時20のビールタップ(注ぎ口)を備え、ミッケラーオリジナルのクラフトビールとともに、世界中から選りすぐったビールをキャッシュオン(注文時に代金を支払う)形式で提供している。
オープンテラスでは、心地よい風に身を委ねながら乾杯でき、2階席ではゆったり腰掛けてじっくりビールを味わうことができる。ここではビールに対する知識がなくとも、スタッフと会話しながら好みの1杯を見つけられる点も魅力だ。さっぱりめか、苦めか、はたまた甘めか、そんなざっくりした感覚でビールをオーダーしても希望に合うビールを出してくれるのがうれしい。それ以外にスピリッツやワイン、ソフトドリンクなどのドリンクも揃う。
ビールサイズは大・小の2サイズがあり、それぞれ200mlと400mlとなっている。種類は樽が空き次第変わり、1か月でおよそ100種類以上を販売しているそうだ。訪れる度に入れ替わる、未知のビールとの新鮮な出合いを楽しもう。
■「ミッケラー東京」
[住所]東京都渋谷区道玄坂2-19-11 渋谷道玄坂ビル1階
[営業時間] 月曜~木曜16時~24時、金曜16時~24時半、土曜12時~24時半、日曜・祝日12時~24時
[電話] 03-6427-0793
[定休日]無休
[交通] 京王井の頭線、地下鉄半蔵門線、東急田園都市線「渋谷駅」徒歩5分
文/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験後、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り。