豚もつ酒場の注目店7選 「豚ってこんなにおいしかったのか!」でファン急増中

タンパク質やビタミン、ミネラルなど栄養素が豊富。そして料理は味わい深く、ビールやサワー、ホッピーといったグビっとやりたいお酒との相性が抜群。つまり、夏こそ食べるべきなのがもつ料理なのだ。若き店主の店を中心に、豚もつの老舗、名店を集めてみました!

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タンパク質やビタミン、ミネラルなど栄養素が豊富。そして料理は味わい深く、ビールやサワー、ホッピーといったグビっとやりたいお酒との相性が抜群。つまり、夏こそ食べるべきなのがもつ料理なのだ。若き店主の店を中心に、豚もつの老舗、名店を集めてみました!

『辰心(たつみ)食堂』 @町屋

親子3代酒場でじんわり味わう絶品とろとろもつ!

もつが、口の中でとろ〜りとろける。いや、大げさじゃなくほんとにとろとろなのだ。

「うちは、もつを生から、塩麹を使って煮てるんですよ」と店主の斎藤司さん。さらに、一度も煮こぼさず、旨みをぎゅっと閉じ込める。鮮度がよいうえ、丁寧に下処理をするからなせる美味。自家製の辛味噌や青唐酢などがさらに旨さを引き立てる。

網レバー 600円、ミノ焼き 680円、もつ煮込み 580円

『辰心(たつみ)食堂』(手前の皿:左から)網レバー 600円、ミノ焼き 680円 (左奥)もつ煮込み 580円 サクッと噛み切れるミノも鮮度がよいからこそ。煮込みは絶妙な辛さの自家製辛味噌で味変も

もともと同じ場で司さんの亡き父・辰夫さんが肉屋を、後に居酒屋を営んでいた。店を畳んだ後、人に貸していたが、司さんが一念発起。

「大好きな肉の酒場をやりたい!」。3人の子供たちも集結し、2022年8月オープン。仲良し家族が営む、おいしくてあったかいもつ酒場なのだ。

『辰心(たつみ)食堂』店内はいつもにぎやか。オープンして2年、地元の方からも愛されている

[住所]東京都荒川区荒川7-23-11
[電話]03-6806-7997
[営業時間]17時~24時
[休日]
[交通]地下鉄千代田線ほか町屋駅から徒歩1分

『やきとん まるわ』 @御徒町

串で、煮込みで豚の旨さをまるっと味わう

豚って、こんなに多彩でおいしかったのか!噛みしめるごとに旨みが弾ける「カシラ」。食感も楽しい「カーテン」、ごま油によく合う「炙りハツ」……。およそ20もの部位が楽しめる。

「希少な部位も多いので、好きな串を見つけて」と、総店長の岩田和也さん。岩田さんは、浅草橋の人気店「西口やきとん」で16年間修業を積み、3年前に独立。

炙りタン・ハツ(セット) 330円、水府自慢 440円

『やきとん まるわ』(料理)炙りタン・ハツ(セット) 330円 (ドリンク)水府自慢 440円 カーテンは横隔膜の「膜」の部分。「炙りタン・ハツ」の炙り具合が絶妙。さまざまな部位を食べ比べて。日本酒は「水府自慢」など定番と日替わりで約10種類揃う

自慢のメニューは、「骨付きカルビタン」。ほろほろと崩れる肉、柔らかく煮込まれた骨とエキス、豚のおいしさ、まるごといただきます。

「七田」「まんさくの花」など、日替りの地酒(770円)も要チェック。「炙りカニミソ」や「鯨のハラミ」なんて、心憎いアテもいいんだなあ。

『やきとん まるわ』

[住所]東京都台東区上野4-2-10
[電話]03-3837-2191
[営業時間]12時~23時、土・日・祝~22時
[休日]不定休
[交通]JR山手線ほか御徒町駅北口から徒歩3分

『もつ焼たいじ』 @尾山台

美しさはおいしさ まだまだ進化する、「令和」のもつ焼き

皿の上に並ぶもつ焼きは、すっきりと美しい。これは絶対おいしい、とのどが鳴る。

「食べるものは、まず目で見て脳で感じますよね。だから『美しくありたい』と思うんです」と店主の浦野太二さん。

てっぽう 260円、さがり 200円、こぶくろ 200円、れば 200円、しろ 260円、三冷ホッピー 570円

『もつ焼たいじ』(右手前の皿)てっぽう 260円、さがり、こぶくろ、れば 各200円 (左奥)しろ 260円 (ドリンク)三冷ホッピー 570円 その部位が最もおいしく食べられるよう火を入れる。炭はラオス産備長炭を使う。タレはもちろん、ラー油など調味料も店で作る。三冷ホッピーに使うのは宝焼酎だ

毎朝芝浦市場に出向いて仕入れるもつを、最高の旨さに焼き上げる。厚みや包丁の入れ方などを、部位ごとに変える繊細さが「美しさ」へとつながるのだ。

コクのある「れば」にニヤリとし、タレがよくからむ「しろ」をかじればもうたまらない。のど越しのよい「三冷ホッピー」が進む、進む。

「もつ焼きが大好きなんです。だからもっともっとおいしく、『令和のもつ焼き』にしたい」(浦野さん)。『たいじ』のもつ焼き、まだまだ進化中だ。

『もつ焼たいじ』尾山台の商店街に、2022年11月開店。地元の方も多い、ほっとする雰囲気だ

[住所]東京都世田谷区尾山台3-10-9
[電話]03-6809-8955
[営業時間]17時~22時、土・日:14時~売切れ次第終了
[休日]日、不定休
[交通]東急大井町線尾山台駅から徒歩3分

『もつ焼き けいすけ』 @稲荷町

気軽に通える価格とおいしさの秘訣は細やかな手間の数々

ほぼ毎日肉屋に足を運び、茨城県から届くもつを内臓がつながった状態で丸ごと仕入れるという。店で切り分けることで原価が抑えられ、より新鮮なうちに調理できるメリットも。

そのおかげか、豚のなんこつやもつの煮込みはクセが一切なく、弱火でじっくり煮出した澄んだスープもすっきりとした味わいに。やわらかさと香ばしさとのギャップにハマるもつ焼きのしろも、炭火で焼く前に圧力鍋で少し火を入れる。

もつ煮込み 400円、なんこつやわらか煮 500円

『もつ焼き けいすけ』(手前)もつ煮込み 400円 (奥)なんこつやわらか煮 500円 メニュー名の通り、なんこつが歯ですっとかめるほどやわらかい。「ガリ酎」(420円)は甘酢っぱさがクセになる

SNSで話題の冷製レバーも、鶏レバーをかたまりで低温調理し、薄くカットするのはオーダーを受けてから。美しいピンク色のとろける舌触りとほどよい塩味は絶品で、リピートせずにはいられない。

『もつ焼き けいすけ』

[住所]東京都台東区東上野3-30-2
[電話]070-6612-3590
[営業時間]17時~22時半、土:17時半~22時
[休日]日・祝
[交通]地下鉄銀座線稲荷町駅1番出口から徒歩3分

『富久晴』 @大塚

創業70年の老舗の3代目が考案した、スープが主役のもつ煮込み

肉厚なテッポウは歯切れ良く、大ぶりの根菜たちもしっかり旨みを吸っている。旨い。さらにスープをひと口飲めば、きっと唸らされるはず。味噌に素材の旨みがしっかり溶け出したコク深い味わいながら、スッキリした後味で、むしろスープが主役!?と思わされるほどの旨さなのだ。

もつ煮込み 500円

『富久晴』もつ煮込み 500円 もつ煮にはテッポウの他に大根、ごぼう、人参、こんにゃくが入る

3代目の店主兄弟が店を継ぐ際に“新しい名物を”と手がけたのがもつ煮込みだ。ベースはカツオといりこのダシ。そこにテッポウなどの具材と味噌を加え、旨みをかけ合わせることで奥行きある味わいを実現させた。

兄の武さんは「スープはぜひ飲み干してほしい」と胸を張るが、いえいえ、言われなくてももう飲み干してます!

『富久晴』歴史を感じさせる飴色の内観

[住所]東京都豊島区大塚2-44-6
[電話]03-3947-2980
[営業時間]16時~21時半
[休日]日
[交通]JR山手線ほか大塚駅南口から徒歩3分

『まことや』 @五反野

七輪から白い煙 厳選の朝締め素材を愛でながら焼く

七輪の網の上で白もつがくるりと丸まる姿を「キャンディー」と呼ぶ。包み紙に似た形状になると食べ頃だ。頬張り甲斐があって、噛むと口の中にきれいな脂が溢れ出す。

豚白もつ  480円

『まことや』豚白もつ  480円 白もつに熱が入って縮みだすと「キャンディー」の形に。脂がこぼれない

茨城・土浦に仕入れに行く『まことや』は朝締めにこだわる一軒。元は和食の職人だった店主の茂野誠さんのもつ好きが高じて開いたお店で、生後半年100kgの個体にこだわっているため臭みがない。

コリコリ感をわざと残すように煮詰めた「コラーゲン豚耳ねぎ」も人気で、ねぎと和えず、おろし生姜だけで食すのが常連流。

「安くて旨くて気軽。ホルモンパワーで夏の疲れを取って」と店主。この店目当てで五反野で下車する客も多い、豚ホルの名店だ。

『まことや』

[住所]東京都足立区中央本町2-22-14
[電話]03-3849-8171
[営業時間]17時~22時、日:12時~17時
[休日]月
[交通]東武スカイツリーライン五反野駅から徒歩5分

『やきとん長良(ながら)』 @高円寺

七輪で自分好みに焼く鮮度抜群のもつのおいしさは格別です!

この店に来たら、絶対「焼き刺し盛り合わせ」を頼むべし。タン、レバ、ハツ、カシラがキレイに並び、どれも見事にツヤッツヤ。それを七輪に並べ、焼けるさまを見る楽しさといったら!

焼き刺し盛り合わせ 968円

『やきとん長良(ながら)』焼き刺し盛り合わせ 968円 一度にのせ過ぎず、じっくり焼こう

芝浦市場直送の朝締めホルモンといっても生焼けは厳禁。煙が出て時折炎が上がるのを見つめてグッと我慢。硬くなり過ぎない頃合いを見計らい、好みのタレにつけて食べればなんとジューシー。ハイボールをグビッと飲んで、もう1枚!ワクワクが止まらないのだ。

この他、ホルモン刺し、串焼き、一品料理も多数。「しば漬けタルタル」は揚げものによし、そのままで酒のアテになる最強のつまみだ。週末は混雑するので予約必須で訪れたい。

『やきとん長良(ながら)』

[住所]東京都杉並区高円寺南3-58-18 山本ビル1階
[電話]03-6760-0208
[営業時間]16時~24時、土:14時~24時、日・祝:14時~23時
[休日]不定
[交通]JR中央線高円寺駅南口から徒歩1分

撮影/浅沼ノア(辰心食堂、まことや)、西崎進也(まるわ、もつ焼たいじ)、小澤晶子(けいすけ、富久晴)、鵜沢昭彦(やきとん長良)、取材/本郷明美(辰心食堂、まるわ、もつ焼たいじ)、井島加恵(けいすけ)、荒川友吾(富久晴)、輔老心(まことや)、松田有美(やきとん長良)

2024年8月号
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