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極秘に熱田神宮を参拝

3日目(10月29日)の朝食は、オートミール(牛乳、砂糖)、トーストパン短冊造り(ジャム)、オムレツ、野菜サラダ(トマト、胡瓜)、御水菓子(みかん、マスカット)、牛乳、コーヒー、湯冷し水であった(原文ママ)。

この日、八勝館を出発した両陛下は、名古屋駅ではなく熱田神宮(名古屋市熱田区)へと向かわれた。この参拝は、国民には知らせておらず、日程にも記さないなど極秘のうちに行われた。これは、神格化との結びつきを避けたいGHQの指示によるものだった。

参拝を済ませた両陛下は、名古屋駅11時5分発のお召列車に乗車し、帰京の途につかれた。列車が“浜名湖”を通過するあたりで昼食をとられた。その食事は、宿泊した八勝館が調理した弁当「御幕の内御膳」であった。献立は、御甘煮(焼栗、松茸、鶏肉、蓮根、絹さや)、御口取(玉子箸巻、伊勢海老)、御香の物(守口)、御水物(洋梨、林檎、みかん)、牛乳、コーヒー、湯冷し水であった(原文ママ)。

前日の昼にも「御幕の内御膳」を召し上がっているが、いずれも“御飯”の文字はなく、昼食は軽めにされていたのであろう。お召列車は、東京駅に16時40分に到着し、両陛下は無事に皇居へとお帰りなった。

1950(昭和25)年10月29日の車中昼食「御幕の内御膳(弁当)」の献立=資料/宮内公文書館蔵

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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