地元に愛される「高コスパの寿司屋」
最後は千束通りの『ジャパニーズ・ダイニング きんたろう』だ。「金太楼」といえば浅草でも数店あるが、もとは創業大正13年。江戸前の技術を伝承した寿司には定評がある。そこをもってここのよさは、なかでもひと味違うコンセプト。つまみも充実して、寿司屋にしては居酒屋使いもできるちょっとカジュアルな感覚。「名物ばくだん」や「賀茂茄子揚げ出し」など、壁に貼られたメニューがいっぱいを誘う。
新宿から総武線に揺られること約25分。新小岩に到着した。駅前のルミエール商店街を抜け『鮨二代目太郎』へと急ぐ。
商店街のはずれにある小さな店のカンターには40代~50代の常連さんがズラリ。しかもみんなご夫婦で来店している。それだけ地元に愛されている居心地のいい店だとわかる。
コースを楽しむ人、握り中心に楽しむ人は半々くらい。最初は色々食べられるコースがおすすめ。「最後まで食べられない方も」というほど品数は多く、しかもコスパが抜群。ただし「採算度外視なのでお酒もお願いします」とのこと。
日を改めて足を運んだのが川向うの小岩駅。1899年に駅ができた当時から栄えている街は、いまだ昭和の雰囲気が残る。
いくつか寿司屋さんを見て回るも年配の方が酒を飲み、握りを食べているほか、カウンターには女性のひとり客も。みんなすごく楽しそう。
接待から家族連れまでさまざまな人が来るとあって、シャリは米酢で穏やかな酢加減にという、街の寿司屋さんの心遣いがうれしい。とはいえヅケあり、昆布〆ありとさまざまに仕事を施して寿司を楽しませてくれるこだわりも。
本誌の街歩き企画、覆面調査隊で北千住担当になってから、千住地域の魅力に取りつかれている私、ライターの赤谷。今回の浅草・小岩の町寿司企画に加えて、千住鮨の食べ歩きの成果を編集の武内と振り返るウラトークをまとめた。