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『アルケミエ辰巳蒸留所』のジンに出合った!

当初、いまいちピンと来ていなかったクラフトジンを一気にいいなと思ったのは、『アルケミエ辰巳蒸留所』のジンに出合ったことがきっかけだという。

「辰巳さんの造る蒸留酒は、オレンジだったり、ふきのとうであったり、ボタニカルの香りがとても自然に感じられて、季節も感じられる。いい意味で、シンプルで誰にでもわかりやすいのが素敵だなと」

ジンはボタニカルのお酒である。基本的には、ベースとなる蒸留酒にボタニカルを浸漬させ、ポットスチルと言われる蒸留器で再蒸留して造る。ボタニカルとは、ハーブや種子、スパイス、果物など植物由来のもの。蒸留によって抽出されるその香味成分が生命線だ。あとはボタニカルの中に、ジンを象徴する香りとしてジュニパーベリー(杜松の実)を必ず使うというのが決まり。

もともとジンは十数種類以上のボタニカルが使われ、素材を組み合わせて調和を生み出す、西洋的な足し算のお酒。それに対してよりシンプルに引き算され、背景にある自然や土地の匂いなどをよりクリアに感じさせる辰巳さんのジンに魅力を覚えた。

そこで一場さんが目指したクラフトジン。そのコンセプトは、「東京ローカルスピリッツ」。ローカルな素材を使った、東京らしい、新しい日常酒だ。難しくなく、「ああ、この香り!」と楽しめる。極力シンプルに、素材のエッセンスを最大限に引き出そうと考える“引き算のジン”でもある。

『虎ノ門蒸留所』蒸留や出来たてのジンのテイスティング、瓶詰めまですべての工程がここで行われる

蒸留前のベースアルコールとして使うのは、八丈島や新島などの伊豆諸島で造られる島酒、島焼酎だ。そして仕上げの割水には奥多摩源流、青梅沢井の湧き水が用いられている。東京の酒と水。ベースの焼酎は飲み口にまろやかさや奥行きを与え、やわらかい飲み口の軟水は自然な甘みを引き出している。

ラインナップは大きく分けてふたつある。ひとつはこちらのレギュラージンである「COMMON」。八丈島の島酒「情け嶋」をベースに、ジュニパーベリーとチコリルートで香りづけされている。味わいに島焼酎の個性も生きながら、シンプルですっきりした香りはストレートでよし、ソーダやトニックで割ってもよし。食中酒としてそれこそ唐揚げにもポテサラに合わせても抜群に相性よく楽しめる。

『虎ノ門蒸留所』COMMON akeru 2024 毎年新年に向けて蒸留する少し特別なジン。あえて15種類のボタニカルを使い複層的な足し算の味わいに挑戦。榧の葉や檜の削り節、クロモジ、季節の柑橘など国産素材も多く使われている

そしてもうひとつが「季節のジン」。新島の「嶋自慢 羽伏浦(はぶしうら)」をベースにし、最も香りのよいときに収穫したボタニカルを蒸留して時季の植物のありのままをシンプルに感じられるようにしている。たとえば、「いちご」「青梅の梅と梅の花」「東京のキンモクセイ」「不知火と紅はっさく」等々。名前を挙げるだけで、香ってみたくなるではないか!

季節のジン「いちご」のソニック

『虎ノ門蒸留所』季節のジン「いちご」のソニック 300mlくらいのグラスに氷を入れ、ジンを注いだら、トニックウォーター4対ソーダ6の割合でソニックに。ほのかにストロベリーが香るジンにはホエーも入っていて少しミルクっぽさも楽しめる味わい

スタッフやときには一般の人にも参加してもらって収穫や採取に出かけるそうで、造る過程も大事にしている。

そのほかにも周年ボトルやアブサンなど、年間20種類は造っていて、ここに来れば、ガラス越しにピカピカのボットスチルを目にしながら、常時12~13種類飲めるのがうれしい!

四周年ジン hibi、四周年ジン hosi、みかんの花、カモミール

『虎ノ門蒸留所』(左から)四周年ジン hibi、四周年ジン hosi、みかんの花、カモミール 毎年作家さんが変わるラベルデザインも楽しみ。周年ジン「hibi」は1年間で蒸留した19銘柄64種類のボタニカルが、「hosi」はwoody&smokeyな雰囲気。「みかんの花」と「カモミール」は〈季節のジン〉の新作

ソーダで割ればパーっと香りが開いて爽快。自由な飲み方で、つまみと合わせて、思う存分味わっていただきたい。

『虎ノ門蒸留所』

[住所]東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー3階 虎ノ門横丁
[電話]03-6205-7285
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時~23時(22時LO)、土:12時~22時半(21時半LO)、日・祝:12時~22時(21時LO)※電話、営業時間ともに隣接の『酒食堂 虎ノ門蒸留所』の情報です。
[休日]無休

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おとなの週末Web編集部
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