アードベッグ 最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士が来日
「アードベッグ 17年」の発売を受けて、アードベッグ最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士が来日。2024年9月11日、東京・渋谷の「THE MUSIC BAR -CAVE SHIBUYA」で開かれた発売記念イベントでは、試飲とともに、復活の背景や製造へのこだわりなどを聞く機会に恵まれた。
会場では、ビル博士が、MHDシングルモルトアンバサダーのロバート(ボブ)・ストックウェルさんとともに、この伝説のウイスキーの魅力をあますことなく語ってくれた。
ローピート、アードベッグとしては珍しい存在
1997年リリースの「アードベッグ 17年」は、アードベッグとしては、珍しい存在だったという。それは、ピートが強い通常のものよりも、ローピートの大麦麦芽を使っていた点だ。ただ、「爽やかさと微かな薬っぽさ、独特のミネラル感を感じさせる、甘い煙とモルトのうま味が見事に調和した味わい」「非凡な繊細さ、それでいてまぎれもないアードベッグらしさを兼ね備えている」(ニュースリリースより)ことなどが、多くのファンの心を掴み、「カルト的な存在になった」という。
販売終了後から、復活を望む声は多かった。ただ、そんなファンの期待に、製造側は「ノー」と返すしかなかった。再現できる原酒が揃わなかったからだ。ただ、復活への萌芽はあった。
ビル博士が言う。「これほどまでに愛されたウイスキーなので、同じ味わいが再現できるか、自信がありませんでした。実は、ちょうど20年前から、17年と同じようなライトピートの原酒を秘密で仕込んでいたんです。それで2年前にテイスティングをしてみると、これであれば、再現できると自信が持てたんです」
ビル博士が表現する香り、味わい
満を持して再現された新しい「アードベッグ 17年」は、ビル博士自身、どのように評価したのか。
「他のアードベッグと比べてやさしい、クリーミーな舌触り。ピートの香りもやさしい。抑え目な感じ」
「香りはフレッシュ感があります。ちょっとしたスモーキーさ。フルーツのような香りで、自分は檸檬とか、ライムを連想します。潮風も感じます。アードベッグの蒸留所の海のそばで、空気を吸っている感じ。フェンネル(香辛料の一種)や、コリアンダーのような風味です」
「10年がエスプレッソコーヒーの風味があるとしたら、17年はカフェラテのようななめらかさがあります」
「燻製された洋梨、燻製されたバナナのような感じ。そのあとは、オーク樽の風味が出てきます。昔の17年と、比較して、すごく似た感じと確信しています」
アルコール度数は前と同じ「40度」
「アードベッグ 10年」はアルコール度数が46度だが、「アードベッグ 17年」は40度だ。
「40%でのボトリングです。前の17年と同じ40%にしました。アードベギャンなら前の17年と飲み比べる方もいるでしょう。前の17年のボトルが今どれぐらいあるのかという問題はありますが。自分のコレクションは3本あります。以前は、4本ありましたけど、新しい17年を作るために、1本を犠牲にしました」
「40パーセントの17年が頬を撫でられるような印象なら、46%の10年は、ビンタを喰らうような感じでしょうね(笑)」
「10年はヘビーピートの大麦麦芽を使用しています。17年は、その3分の1のレベルです」
新しい17年が、どう思われるのか、ビル博士自身、感想を聞くのを、楽しみにしているとう。