商品名の由来となった秘蔵の蔵を特別公開!
そして、「隠し蔵」はそのネーミング通り、秘蔵する静穏な樽貯蔵庫で慈しむように貯蔵される。樽貯蔵庫は一般公開されておらず、本来はそのままずっと隠しておきたいそうだが、本取材ではその封印を解き、「傳藏院蔵」の内側を覗かせてもらった。
焼酎蔵のブレンダーの仕事とは?その苦労とやりがい
2024年で49歳を迎えた『浜田酒造』のブレンド室長・大園栄作さんは鹿児島県出身で、1999年の入社以来、人生の半分以上を焼酎造りに費やしてきた。蔵の貯蔵庫に並ぶ約2000本の樽の中から少しずつ原酒を抽出し、集めてきた原酒の熟成具合を見極めて、パズルのように組み合わせて「隠し蔵」の味を構成・決定していくのが仕事だ。
「原酒の熟成は樽が呼吸することによって進行するのですが、樽材の種類はもちろん、樽が置かれている位置や環境によっても熟成度が異なるので、定期的に色と味を確かめてみないと何年やっていても確かな正解がわからないんですよね。熟成させるほどに芳醇な風味と旨み、琥珀色の輝きが増しますが、焼酎には酒税法で色の規定があり、着色度合いが定められているので、熟成させ過ぎても色みが濃くて出荷できないんです。だいたい1~3年ほど熟成させ、隠し蔵が持つ独特の香味を維持できるよう、月に1度は1日こもりきりになってテイスティングをしています」(大園さん)
さらに、オーク樽に「焼き(熱処理)」を入れることでも、焼酎の香味を調整しているそうだ。焼きの種類は強火で内面を炭化させるチャーリングと、弱火で加熱し内面を焦がすトースティングの2つ。ともに樽の成分を溶出させる方法だが、チャーリングは熟成させる焼酎の原酒の風味や香りを高め、トースティングはバニラ香をはじめ甘い香味成分を増すことができる。