旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■お安いです
正解:もやし
難易度:★★☆☆☆
元祖スプラウト野菜です
もやしは、穀類や豆類の種子を暗所で発芽させたスプラウト野菜です。近年の健康志向の高まりでさまざまなスプラウト野菜が登場していますが、なかでももやしは日本人にとってもっとも身近なスプラウト野菜といえるでしょう。
もやしの原料は大豆、緑豆、ブラックマッペ(黒緑豆)などです。ほかに、小豆を材料にした小豆もやし、ムラサキウマゴヤシ(アルファルファ)のもやし(糸もやし)、そばを使ったそばもやしなどもあります。
スーパーで目にするもやしのほとんどは緑豆を原料としています。
ほかに店頭で目にすることが多い、ブラックマッペもやしですが、こちらは緑豆もやしよりも細長く、シャキシャキとした食感を持つことが特徴です。
ナムルなどで使われることが多い豆もやしは、大豆を原料としています。
その歴史は古く、平安時代には薬用として栽培されていたといわれています。実際、日本で最も古い薬草の本とされている「本草和名」にも「毛也之(もやし)」が登場しています。
ただし、食用として普及したのは明治時代といわれています。
一袋、20円、30円など、信じられないような安価で販売されているもやしは「物価の優等生」といわれる野菜です。
しかし、種まきして1週間程度で収穫ができるという回転の良さはありますが、発芽をさせるためには室温25~30度、湿度を約50%程度に維持しなくてはならないため、燃料費もかかります。
さらに、温度や湿度管理だけではなく、水耕栽培のため、水質管理も徹底しなくてはなりません。
ということで、一袋、20円、30円という市場価格が信じられないほど手間のかかる野菜なのです。
しかし近年、燃料費が高騰しているだけではなく、原料豆の価格も高騰しています。にもかかわらず、価格を上げることができず……。ということで、もやしの生産者の減少が続いているという危機的状況だとか。
一般的にもやしは水耕栽培ですが、土耕栽培のもやしもあります。
代表的なのが、青森県大鰐町のみで作られている大鰐温泉もやしです。このもやしは、温泉水のみで栽培され、長さ40cm前後にまで育ちます。何重にも敷き詰められた藁の下で光が当たらないように育てられます。
もやしといえば脇役野菜のイメージが強いのですが、このもやしは主役を張れる野菜として、珍重されています。