いろいろな装備を満載
三菱のスポーツモデルと言えば、前述のギャランGTO、FTO、ランサーセレステ、スタリオンが存在するが、サイズ的にもGTOは三菱にとって新たなチャレンジだったため、ギミックも含めいろいろな装備も満載されていた。
■ECS(電子制御サスペンション)
走行条件に応じて、フロント、リアの合計4本のショックアブソーバーの減衰力を3段階に制御することができる
■ベンチレーテッドディスク
フロントは対向4ピストンのアルミキャリパーを採用。これに冷却性能に優れた大容量ベンチレーテッドディスクを組み合わせ、リアもベンチレーテッドディスクを装着することでストッピングパワーを強化
■ゲトラグ社のミッション(日本初)
初期は5速MT、中期以降は6速MTを採用したのはGTOが日本車初
■アクティブ・エアロシステム(日本初)
車速80km/h以上で前後スポイラーを可変化させ、ダウンフォースを制御することで高速走行時のスタビリティを向上させる
■アクティブ・エキゾーストシステム(日本初)
室内のスイッチ操作によって排気音をノーマルモードとサイレントモードの2種に切替えることできる。夜間の住宅街などでサイレントモードが重宝した
これだけ装備が充実していながら車両価格はライバルよりも大幅に安い330万円~390万円というのは魅力的だった。
スポーツカーとしてわかりやすいデザイン
流麗なエクステリアデザインもGTOの魅力を語るうえでは欠かせない要素。GTOはスタリオン、エクリプスに次ぐ三菱3番目となるリトラクタブルヘッドライトを装備。ワイド&ローのZライン、曲面ガラスを使いサイドに大きく回り込んだリアウィンドウ、真横から見ると光のラインが一度下がってまた競り上がる複雑な面構成などが特徴で、誰が見てもスポーツカーとわかるわかりやすいデザインで登場。
ボンネットが低いデザインとエアロフォルムにより、GTOの空気抵抗係数(Cd値)は、当時のスポーツカーとしては優れた0.33(GT-Rは0.40)。
プアマンズフェラーリと揶揄する人もいたが、実際にはフェラーリとは異質の三菱のオリジナリティが盛り込まれている。筆者は今見てもカッコいいと思う。
しかし、リアフェンダー下に装着されたエアアウトレットはダミーだったし、ボンネット両サイドのバルジは、ストラットサスの取り付け部をカバーするための苦肉の策だったりと、スポーツカーとしては残念な部分もあった。
インテリアは豪華志向
スポーツカーの室内は、適度にタイトで、スパルタンなイメージを持っている人も多いだろうが、GTOのインテリアはセンターコンソール上部の丸型3連メーターがスポーティ感を出しているものの基本的にはラグジュアリー志向。シートサイズもゆったりしているのでスポーツカーとは思えない快適な空間だった。乗車定員は2+2の4人だが、ほかのスポーツカー同様にあくまでも主役は前席で、後席は荷物スペースとしてつかうほか、エマージェンシー的。