だんだんとおいしくなっていくワンタンメン
カウンター席のみの店内は7割ほど埋まっていた。ふと、店内の壁に貼られたボードに目をやると、ランチメニューが書かれていた。
11時から14時までタンメン+半チャーハン(通常850円)、ワンタンメン+半チャーハン(通常850円)がそれぞれ800円、チャーシュー麺+半チャーハン(通常900円)が850円になるらしい。直前まで「半チャンラーメン」を注文しようと思っていたが、「ワンタンメン+半チャーハン」に決めた。
まず、目の前に運ばれたのはワンタンメン。この日は寒かったので、丼から立ち上る湯気が何とも心地よい。具材はチャーシューとメンマ、ネギ、海苔。そしてワンタン。
まずはスープをひと口飲んでみる。おや? 味付けがかなり薄い? いや、きっと筆者がラーメン店の濃い味に慣れてしまっているからだろう。ややちぢれのある細麺をズルズルと吸い込みつつ、スープを飲んでいるうちにスープの旨みや醤油のコクが感じられて、だんだんとおいしく感じるようになってきた。
昔、筆者が通い詰めていたラーメン店もここのように味付けが薄かった。それは食べ終わったときに「おいしかった!」と感じてもらえるようにと店主がこだわっていたと知って、ラーメンの奥深さを知った。
ところが、今のラーメンの多くはひと口目のインパクトを重視しているように思える。結果、途中で飽きてしまうことも少なくはない。どちらが正解なのかはわからないが、食べているうちにおいしくなっていくラーメンがあってもよいと思う。
スープとの相性を考慮したチャーハンも旨い
時間差で運ばれたチャーハンもひと口。これもまた味付けはやや薄めだが、ラーメンのスープとの相性を考えてのことだろう。さすがは御三家、四天王といわれるだけのことはある。
チャーハンの具材はチャーシューとネギ、卵。注文ごとにご主人が中華鍋を振っていた。その隣で女将さんが麺類の盛り付けなどをアシストしつつ、同時進行で接客もこなしている。母子なのかチームワークも完璧だ。
特筆すべきはワンタンメンのワンタン。値段のことを考えると、せいぜい3、4個くらいと高を括っていたが、丼の底の方にもたっぷりと入っていた。途中まで数えていたが、わからなくなってしまった。しかも、厚めの皮を使っていて、ボリュームも満点。ラーメンの大盛りくらいの量はあるかもしれない。おかげで腹パンになり、冷えきっていた身体も暖かくなった。
また東京へ行く機会があれば、つぎは『成光』へ行ってみたい。あ、それまでに筆者の地元である名古屋のチャーラー御三家と四天王について考えてみようと思う。まとまり次第、この連載で紹介するのでお楽しみに。
取材・撮影/永谷正樹
1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。