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味噌に、ふきの鮮烈なほろ苦さを閉じ込める

69歳、血圧高めのジジイの実家では、立春の頃になると、庭にふきのとうが勝手に出てきました。土の表面にポコッと顔を出す、丸っこい緑のかたまりです。

自生していたものですが、花が開かないうちに摘み取り、刻んで味噌汁に入れたり、丸のまま天ぷらにしたりと、そのほろ苦い味わいで春を実感していたものです。

現在、ふきのとうは出荷用として露地栽培やハウス栽培もされていますが、八百屋さんやスーパーに出回るのはやはり春先の時期だけでしょう。そこで、オイラは立春の前後から、八百屋さんを行脚してふきのとうを買い求めています。クルマで遠出した折に、道の駅で大量買いすることもあります。

なぜ、行脚するのか? ふきのとうは価格差がはげしいのです。

とくに出始めの「走り」の時期は高値で、高級スーパーの明治屋さまなどでは「10個1000円」も当たり前。重さにすれば100gあるかどうかです。また、ネットでもメルカリとかでは「300g以上。2222円(税込み送料込み)」という相場。300gというと、普通の大きさのふきのとうなら30~40個ほどですから、とんでもなく高価です。

でも、普通の八百屋さんやスーパーでは立春を過ぎる頃には、10個300円台(たぶん100gほど)くらいから並ぶことが多いのです。

ふき味噌として保存用に作るには、ある程度の量も必要です。おすそ分けもしたいので小さな瓶に入れ、5つ6つ作るためには30個は欲しいところ。したがいまして、「ふきのとう行脚」をなさるなら、走りの時期を避け、2月中旬以降がおすすめと思います。

……つづく「こんなうまいものがあるのか」…20歳の青年が、オホーツクの旅で《ホタテ貝の刺し身》に感動し始めた「意外な商売」では、宮城県三陸のひとりの養殖家が、うまいカキを探しに世界中を旅した話を明かします。

文・撮影/沢田浩

さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社。

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おとなの週末Web編集部
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