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臭いのない内モンゴル産かん水を大量輸入

ラーメンの麺を作るうえで欠かせないのが「かん水」です。麺の独特の風味や食感は、小麦に混ぜるかん水があってのこと。しかし佐野さんは、かん水特有のアンモニア臭が嫌いでした。

すると、特有の臭いのない「内モンゴル産のかん水」の存在を聞きつけ、今度は中国は、内モンゴルに渡りました。さっそく入手し使ってみると臭いがなく、しかもリン酸塩類も含まれておらず、体にも優しい。これはよいと、使うことになるのですが、大きな問題がありました。

「支那そばや」の自家製麺。内モンゴル産のかん水にこだわった

内モンゴルかん水を輸入するには、最低20トンを仕入れなければなりませんでした。一般的には、かん水の使用目安量は、小麦25kgに対して1%前後、つまり250gほどです。とても1店で使いきれる量ではありません。しかしどうしても使いたかったため、佐野さんは使いきれないリスクを承知のうえで輸入したのです。1997年のことでした。

藤沢時代の「鵠沼 醤油らぁ麺」が復活

30周年企画「あの銘店をもう一度」では、「支那そばや」の原点でもある藤沢時代の「鵠沼 醤油らぁ麺」を、佐野さんが書き留めていたレシピをもとに、2023年4月25日から3週間限定で復刻しました。麺は佐野さんが初めて使用した国産小麦「ハルユタカ」を使用。3週間のためだけに、当時取引していた江別製粉の協力のもと「ハルユタカ」を主体とした当時の麺を再現しました。

ラー博30周年企画での出店では国産小麦「ハルユタカ」を使用

スープもそのレシピをもとに、佐野さんが食材探求のきっかけとなった名古屋コーチンの丸鶏を主体に数種類の鶏をブレンド。具材は、山形県平田牧場「三元豚」のバラチャーシュー。現在の横浜・戸塚の「支那そばや」で使っているのは穂先メンマですが、30周年企画での出店では、当時使っていた台湾産の短冊メンマ、そして九条ネギ、有明産の海苔を使用して味を再現したのです。

ラー博30周年企画での出店では、創業の地・藤沢時代の味を佐野さんのレシピをもとに「鵠沼醤油らぁ麺」として復刻。バラチャーシューは山形・平田牧場の三元豚

佐野さんが2014年に逝去されて、はや11年がたとうとしていますが、開店時の味の復活は、天国の佐野さんもきっと喜んでくれたのではないかと思います。

■志那そばや 本店
[住所]神奈川県横浜市戸塚区戸塚町6002-2

現在の「支那そばや」は横浜市戸塚区にある
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『ラー博30年 新横浜ラーメン博物館 あの伝説のラーメン店53』2025年2月20日発売
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