洗剤を使わず環境にやさしい「アクリルたわし」をすすめる
環境への影響に心を砕いている美智子さまは、調理のあと片付けにも心を痛めておられた。
「食器を洗うのに洗剤を使わずにすむので、これがよろしいようよ」
といって、大膳に「アクリルたわし」をすすめたのだ。
「アクリルたわし」は、今ではよく見かけるようになった、アクリルの毛糸で編んだ布である。ところが、使ってみると洗剤がなくても汚れがよく落ちる。美智子さまに渡された「アクリルたわし」は、大きな四角に編んだもので、皿の両面を挟んで洗えるのでたいそう便利だった。
美智子さまのお心は、子や孫にも伝えられていることだろう。小さな心掛けが、人の意識を変えていくことを教えてくれる。(連載「天皇家の食卓」第39回)
※トップ画像は、(C)JMPA
参考文献:『殿下の料理番 皇太子ご夫妻にお仕えして』(渡辺誠著、小学館文庫)、『宮中 季節のお料理』(宮内庁監修、扶桑社)
文/高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。