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独立までには修業7~10年という弟子制度

先代の五男さんが引退する1988年、「春木屋」に新たな時代が訪れました。翌年に卒業を迎えようとする高校生が父親とともに、春木屋を訪れたのです。その高校生こそが手塚英幸さん。18歳の冬、何気なく買った本に載っていた先代の言葉や思いは、手塚さんが志していた“職人のあり方”だったのです。当時の「春木屋」は弟子をとる制度がなかったのですが、手塚さんの情熱に押され、初めて外の人間を受け入れました。当時、採用に踏み切った今村正子さんが言うには、「もしあのとき、彼を受け入れなかったら、現在の春木屋はなかったかもしれません……」とのこと。

そしてその数カ月後、もうひとり、ラーメン職人を志す若き青年が訪れたのです。彼の名は高橋充さん。手塚さん同様に、小さい頃から職人の世界で活躍する夢を抱いていました。さらに、その翌年には、兄・手塚英幸さんの影響を受けた弟・手塚雅典さんも弟子入りをし、同じ志を持つ若き3人が“三羽ガラス”と呼ばれ、「春木屋」の新たな時代を築き上げていくのです。

「春木屋」70年の歴史のなかで弟子はわずか4人。そのうちの3人が郡山に結集。写真左から、手塚雅典さん、店主の手塚英幸さん、高橋充さん

その頃の「春木屋」の修業期間は7~10年。弟子の独立に際し「修了式」を行い、家紋が入った紋付袴と包丁が贈呈され、「春木屋」の暖簾を使っての独立が許されたのだそうです。

「春木屋」では弟子の独立の際、修了式を行った。「春木屋郡山分店」店主の手塚英幸さんの修了式

春木屋ならではの煮干し風味と、手もみ麺

「春木屋郡山分店」の麺作りは、早朝6時から始まります。使用される麺は創業以来の自家製麺。圧巻なのは、麺の手もみ作業。強くもむと麺肌がざらざらになってしまい、手もみをしないとプリプリとした食感が味わえないという微妙な仕事で、この熟練の技は先代からの伝承です。

麺作りは早朝6時から。創業以来の自家製麺で一つ一つを手もみし、プリプリの食感を出す
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一番弟子が常駐したラー博30年企画
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おとなの週末Web編集部
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