経験したからこそ分かる麻酔の“繊細さ”
華岡青洲が世界で初めて行った全身麻酔の手術とは、乳がんの切除です。
筆者は抜歯以外で、生涯で2度ほど、半月板損傷手術で脊椎麻酔による局所麻酔、乳癌手術で静脈麻酔による全身麻酔を体験しています。いずれの時も、麻酔科の医師から何度もいろいろな問診と検査をしたことを覚えています。この時に初めて、手術において実は麻酔というものが、ものすごく神経を使って使用されるものなのだということを知りました。
局所麻酔だった半月板手術では、手術中の医師たちの声が聞こえたりモニターが見えたりして、ドキドキと不安がマックスに。そのせいできっと顰めっ面になっていたのでしょう。執刀医が「眠らせてあげて」と麻酔医にひと言。その瞬間、パカッと口にマスクを当てられ、一呼吸しただけで眠りに落ちました。全身麻酔だった乳癌手術も合わせ2回の手術は、「終わりましたよ」と揺り起こされるまで、どちらも意識不明状態のまま終了しました。
「麻酔の日」の原稿を書きながら、自分の過去の手術体験を思い出し、今健康であることにあらためて感謝しています。みなさんもご自愛を!