新店を担当したライター肥田木、名店の菜々山&岡本、蕎麦前の本郷、各担当の編集武内、そして蕎麦屋の鍋の池田&編集和賀が腹を割って語り合う!?温蕎麦の魅力から最近の蕎麦屋の傾向、文化云々まで……味な話をずずずっとお楽しみください!
調査で改めて感じた蕎麦の魅力と今!
菜「声を大にして言いたい!蕎麦といえば冷蕎麦にいきがちだけど、もっと温蕎麦に注目してほしい!!啜るほどに味の表情が変わる“移ろい”や“儚さ”があって風情たっぷりだし、蕎麦も頼もしい食感から最後はしんなり舌に寄り添う感じで愛おしくなる」
和「温蕎麦愛、語るねえ(笑)」
菜「おお、姐さん。第1特集の座談会参加は珍しいね、よろしくぅ。まあ続きを聞いてよ。温かいツユはダシの香りがぐんと立って味わい深いし、最後に残ったツユをつまみに1杯やるのも楽しみなのよ。二日酔いにも効くし(笑)」
肥「それ、予防にもなるかも。だって今回浴びるほどお酒飲んでも二日酔いにならなかったもん」
武「いやアナタが“ざる”だからでしょ、蕎麦だけに……。にしても高騰する原材料費に負けず、蕎麦屋さんも頑張ってますよね」
池「でも全体的にはやっぱり物価高をヒシと実感したなあ」
岡「軽くつまみを食べて蕎麦で〆て5000円は普通だもんね」
武「蕎麦屋も寿司屋化(高級路線に走る)が進んでる感じはするけど、『せいろで1000円以上はもらえない』と頑張ってる蕎麦屋さんには脱帽しますよね。そんな中での新店探し。掲載した店はどこも素材や味にこだわりが強く、しかし価格は高過ぎず。口中がダシのカツオ節感まみれになるまで探した甲斐がありました。体からカツオの香りしてません?」
肥「確かに私ら戻りガツオのように脂が乗ったお腹に……」
和「くくっ。ま、座談会で腹割って話してスッキリさせようよ(笑)」
新店の傾向は大きくわけて3つ
武「という無駄話は置いといてですね、新店は2023~2025年で開店した店を探したわけですが……」
肥「大まかな傾向は3つ!」
本「へえ、というと?」
肥「まず1.名店出身の店主が独立したパターン。神楽坂『蕎楽亭』で腕を磨いた『いのも』がそう。蕎麦はもちろん、目の前で揚げてくれる天ぷらも最高」
『蕎麦いのも』天ぷらそば2280円

武「蕎麦屋で過ごす空間も大事にしていたのが『nobu」。こちらは巣鴨『菊谷』出身」
菜「菊谷といえば、本店のお兄さんが新しく始めた『菊谷国分寺』も外せないよね」
肥「そんな正統派がある一方、2.独自路線の次世代スタイルも増えてる。『SOBA』はもっと気軽に若い世代に蕎麦文化を伝えたいと、入りやすいよう楽しい変わり種を揃えてるんだって」
武「そして3.は「い志井」のようにアラカルトでも上質なコースでも楽しめる店ですね」
和「そういえば鷺沼から移転した『よしみや』も新店では蕎麦懐石に力を入れてるみたいだね。実は私も好きな店なんだ」
『手打蕎麦よしみや』そば懐石8800円

肥「店の歴史や人気に驕らず挑戦し続ける姿勢って素敵だよね」
菜「私が担当した温蕎麦の傑作も然り。『さらしなの里』の4代目が考案した『しじみそば』は感動モノだよ。老舗のツユとシジミエキスが奇跡の相性!私が将来おばあちゃんになって病院でいよいよ……となった時、このツユを水筒に入れてベッドまで持ってきてと友人に頼んだもん」
池「で、そのツユをつまみに最後の最後も一杯飲むでしょ(笑)」
菜「当然(笑)。具材との相性なら『やっ古』の花巻も良かったなあ。花カツオから取るダシの風味と海苔の香りが針に糸を通すような繊細なバランス!」





