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高みを求める萬寿 朝日蔵が守り続けてきたもの

数値化は進んでも最後は人が見極める

松籟蔵を後にし、次に案内されたのが朝日蔵。「久保田」の酒造りの中でも、より高い完成度が求められる酒が、ここで仕上げられている。迎えてくれたのは朝日蔵杜氏の山賀基良さん。「久保田」の造りを長年率い、その哲学を現場で体現してきた人物だ。

仕込み室に並ぶ大型タンクを前に、朝日蔵杜氏の山賀さんが工程を解説。マッキー牧元さんと門脇編集長も、発酵の進みや温度管理の工夫に耳を傾ける。品温や日本酒度に加え、アルコール度数、酸度、アミノ酸度まで日々記録する管理表が、久保田の品質本位を物語る

山賀基良さん(以下山)「朝日蔵は、朝日酒造の真髄を結集した旗艦の蔵です。蔵人の経験と最新の技術、その両方で『萬寿』の酒質を追求していきます」

ほどなくして、松籟蔵の杜氏・大橋良策さんも合流してくれた。

大橋良策さん(以下大)「『久保田』は、米・水・人の三つがそろって初めて成り立ちます。条件は毎年違いますが、目指す酒質は変えません」

「良かった年、難しかった年を振り返りながら、どこに差が出たのかを一つずつ確認していきます」

1995年に竣工した朝日蔵は、朝日酒造の真髄を結集した旗艦の蔵。松籟蔵と同様、酒造工程に沿って動線が緻密に計算された4階建ての空間だ

「『千寿』と『萬寿』は、役割が違う酒ですよね」

「『千寿』は、食卓にすっと溶け込む食中酒としての淡麗辛口。日常的に飲まれることを前提に、余白を残す造りをしています」

仕込み室にはタンクが整然と並び、泡立つもろみを上から観察できる。広い室内に吟醸香がふわりと満ちていく

一方、「萬寿」は純米大吟醸でありながら旨みとキレを併せ持つ。

「香りは華やかですが、甘さに寄らせない。飲み進めても重たくならないことを大事にしています」

「確かに、存在感はあるのに、飲み疲れしない」

近年は温度や日本酒度など発酵の状態を数値で捉える管理も精緻になってきた。それでも山賀さんは現場を見ることを欠かさない。

「泡の表情や香り、手で感じる発酵の温度。数字では測れない変化を毎日見ています」

「機械が整っても、酒は人の目と手で育っていくんだと思います」

「道具や環境は変わっても、最後に決めるのは人。その感覚を、次の蔵人にもきちんと残したいと思っています」

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蔵を巡り、最後に味わう「久保田」という一杯
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『おとなの週末』編集部
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