今でこそ世界で確固たる地位を築いている日本車だが、暗黒のオイルショックで牙を抜かれた1970年代、それを克服し高性能化が顕著になりイケイケ状態だった1980年代、バブル崩壊により1989年を頂点に凋落の兆しを見せた1990年代など波乱万丈の変遷をたどった。高性能や豪華さで魅了したクルマ、デザインで賛否分かれたクルマ、時代を先取りして成功したクルマ、逆にそれが仇となったクルマなどなどいろいろ。本連載は昭和40年代に生まれたオジサンによる日本車回顧録。連載第93回目に取り上げるのは1998年にデビューした初代日産キューブだ。
東京モーターショー1997に参考出品
軽自動車では1993年に初代スズキワゴンがデビューして以来、背の高いハイトワゴン(トールワゴンもほぼ同義語)系軽自動車が人気となっていた。登録車(小型・普通)では1994年登場の初代ホンダオデッセイが乗用タイプミニバンブームを巻き起こしたように、世の中背の高いクルマが大人気。
その流れは世紀末あたりまで続いたが、日産は1997年の東京モーターショーに市販前提の参考出品車としてキューブを出展。東京モーターショー1997の日産ブースの目玉は21世紀を見据えたコンセプトカーの「ハイパーミニ」で、6人乗り乗用車の新たな提案を盛り込んだ「スタイリッシュ6」、4WDのスペシャルモデルの「トレイルランナー」がわきを固めるといった感じで、キューブは地味ながら来場者の注目を集めていた。
日産の次世代コンパクトカーを具現化
日産は新世代のコンパクトカーに求められる要素として、「窮屈さと使いにくさの排除」、「コンパクトカーとしての走りの基本をしっかり押さえる」、「クラストップレベルの安全性」、「リーズナブルなプライス(価格)」という4つ掲げ、それを具現化したのが初代キューブということになる。
このキャラクターからもわかるとおり、初代キューブはクルマ好きを熱狂させるようなタイプのクルマではない。クルマを移動の手段として使う層にターゲットを絞り、小さいながらも質実剛健なクルマを目指した。
まぁ、言葉で言えば簡単だが、これを実現するのは至難の業。どのメーカーもユーザーの心をつかむためあの手この手を使ってさまざまなクルマを投入するが、成功するのはほんのひと握り。メーカーの気合が空回りして売れないことだってある。発売してみないと結果はわからない。
2代目マーチをベースにハイトワゴン化
初代キューブは2代目マーチをベースにハイトワゴン化。ボディサイズは全長3750×全幅1610×全高1625mmで、ホイールベースはマーチと同じ2360mm。ベースとなったマーチに対し全長は+20mm、全幅は+25mmとほぼ同じながら、ハイトワゴンというコンセプトのため全高は200mmも高くなっている。車重は1トンを切る970㎏前後と軽量。数値を見ると現代のジャパニーズコンパクトの基準よりかなり小さいのがわかる。今乗るととても小さく感じるだろうが、このサイズが当たり前だった当時は運転していて小さく感じなかった。
コンパクトカーという限られたサイズで広々感を実現させるためには頭上空間に余裕を持たせるのが最適解であることは今も昔も同じ。























