神泉に25年根を張る名店『麺の坊 砦』
渋谷の喧騒から少し離れた神泉エリアに、静かに佇む豚骨ラーメンの名店『麺の坊 砦』がある。
2001年10月11日にオープンし、今年で25年目を迎えるこの店は、臭みのない上品な豚骨スープと細麺の軽やかさが、特に女性客から支持を集めている。落ち着いた空間でゆったり味わうことも人気の理由だろう。
看板メニューの「砦らぁめん」。その最大の魅力は、豚頭骨(トントウコツ)のみを使った店炊きスープである。店主・中坪正勝さんはこう語る。
「豚の骨の中でも一番硬い部分を使っています。長時間炊かないと出ない旨みを、14時間から16時間、ときには20時間近くかけて丁寧にアクを取りながら煮込んでいます」。
12時間ほどで炊き終える店が多い中、時間をかけてじっくりと炊いているのだ。
家庭用の1,100kcal/hとは比べものにならない、プロ仕様の約30,000kcal/h級の強火力で炊き上げている。神泉の町に合わせて「臭みの少ない味わい」を目指した結果、濃厚なのにまろやかで、最後まで飲み干したくなる上品なクリーミーなスープへと仕上がる。
臭みが少ないあっさりとしたスープではあるものの、豚骨の旨みがしっかりと凝縮されている。細麺との相性が良く、全体のバランスが整っている。
麺は現在、細麺(28番・約1mm)の自家製麺を提供している。
「18年以上の経験を持つ職人が季節、気温・湿度を見極め、粉の配合や水分量を微調整し、おいしく喜んでもらえる麺を打っています」と中坪さん。
替え玉の提供へのこだわりも並々ならない。「替え玉を茹でていくとカンスイがお湯に移り、熱が麺に伝わりにくくなる。そうするとコシと歯応えがなくなってしまうので、40杯ほどで湯を替えるようにしています」。これがいつ食べても替え玉をおいしく食べられる秘訣だそうだ。
トッピングにも店主の職人魂が光る。キクラゲを水で戻したあとにそのまま丼にのせて提供するのではなく、ゴマ油・醤油・みりんで炒めて別皿で提供している。
ラーメンと一緒に半分食べすすめ、残りはお酒の肴にする常連さんもいるという。
海苔3枚ととろっとした半熟玉子の組み合わせも、長年愛され続けている人気トッピングだ。
卓上には紅生姜、辛子高菜、ニンニクが揃い、自分好みに調整ができる。
テーブル席を充実させているので、ベビーカー入店も歓迎。地域に根ざしたお店を目指し、神泉エリアの客層に合わせた配慮が随所に見られる。団体が入っても周囲に気兼ねなく過ごせる、開放感のあるレイアウトもポイントだ。
中坪さんは『一風堂』創業間もない頃から関わり、関東進出時の新横浜ラーメン博物館店長も務めた“一番弟子”。店名の『砦』には、師匠・河原成美さんから受けた教えが込められている。
「いま居る処が最後の砦 そしてすべての始まりなんだ がんばろうぜ」という言葉だ。
中坪さんは「この思いを今も守り続けています」と語る。
臭みのないまろやかなスープ、職人ならではの細やかな工夫、そして25年変わらぬ味わい。ここはまさに渋谷とんこつラーメンの「最後の砦」だ。
■『麺の坊 砦』
[住所]東京都渋谷区神泉町20-23
[電話番号]03-3780-4450
[営業時間]11時〜15時15分(15時LO)、17時半〜22時15分(22時LO)、土・日・祝11時〜22時15分(22時LO)
[休日]水
[交通]京王井の頭線神泉駅から徒歩3分、地下鉄半蔵門線ほか渋谷駅A0出口から徒歩14分




