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力強さを感じる赤つゆと上品な味わいの白つゆ

なぜ、カマボコや揚げ、青菜などの具材をのせるようになったのかはわからない。ただ、つゆと薬味だけの「かけ」では、どこか物足りないのも確かだ。日々の食事だからこそ、遊び心でほんの少しの具を添える。そんな積み重ねが、この一杯を形づくってきたのかもしれない。

豊橋市内には約50軒のうどん店があり、にかけうどんは定番中の定番。多くの店は『東京庵本店』と同様に長い歴史があり、文化として根付いている
豊橋市内には約50軒のうどん店があり、にかけうどんは定番中の定番。多くの店は『東京庵本店』と同様に長い歴史があり、文化として根付いている

遊び心といえば、うどんやきしめんに見られる赤つゆと白つゆの存在も興味深い。赤つゆは濃口醤油やたまり醤油をベースにしたコクのある味わい、白つゆは西三河地方の特産である白醤油を使い、上品に仕上げられる。愛知県内の多くのうどん店では、これらを使い分けている。

基本的に、かけうどんやかけきしめん、豊橋の場合はにかけうどんには赤つゆが用いられ、白つゆは天ぷらや玉子とじなど具材がのるものに使われる。具材に醤油の色が移りすぎないようにするためで、見た目の美しさを意識した工夫でもある。

味わいも対照的だ。ムロアジやサバ節の力強いダシを前面に感じる赤つゆに対し、白つゆは一転して軽やかで上品。出汁が同じでもカエシが変わるだけで、まったく異なる表情を見せる。この振れ幅こそが、愛知県のうどんの面白さだろう

白醤油を用いた「白にかけ」。同じダシを使っているとは思えないほど上品な味わい。愛知県西三河産の白醤油は、京都の料亭でも炊き合わせや椀物に重宝されている
白醤油を用いた「白にかけ」。同じダシを使っているとは思えないほど上品な味わい。愛知県西三河産の白醤油は、京都の料亭でも炊き合わせや椀物に重宝されている

「ウチには白つゆのにかけうどん、『白にかけ』も用意しています。赤つゆの天ぷらや玉子とじもリクエストがあれば応じます。にかけうどんや赤つゆ、白つゆのうどん文化を多くの人に知ってもらい、香川のさぬきや秋田の稲庭、群馬の水沢のように、豊橋をうどんの町として認知してもらえるようにしていきたいですね」

2026年3月、豊橋のにかけうどんは、地域の誇りとして受け継がれてきた食文化として、文化庁の「100年フード」に認定された。ぜひ、豊橋を訪れて、にかけうどんと、赤と白、ふたつのつゆの違いを味わってみてほしい。

東京庵本店
東京庵本店

■『東京庵本店』
[住所]愛知県豊橋市大手町135
[電話番号]0532-52-3487
[営業時間]11時~14時45分、17時~20時半(20時LO)
[休み]月※祝の場合は営業、翌火休
[カード]不可
[予約]不可
[席数]全80席
[駐車場]15台
[交通]JR東海道本線ほか豊橋駅東口から徒歩10分

取材・撮影/永谷正樹

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永谷正樹
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