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一度も使用されたことのないVIP室

皇室のお召列車としても使用されるハイグレード車両「なごみ」は、通常は5両編成だが、お召列車として運用される時には、“特別車両”とよばれる皇室の専用車両1両が増結される。このような特別編成は、皇室の公式行事や国賓など海外賓客の乗車時に限られる。

このため、外国要人などの乗車を想定した「VIP室」が、ハイグレード車両「なごみ」には備えられている。しかし、この19年間でVIP室は一度も利用されたことがない。近年、天皇、皇后両陛下が静岡県下田市の須崎御用邸へお出かけの際にも、このハイグレード車両「なごみ」が使用されるが、両陛下はVIP室をご利用にならず、通常の座席をご使用になられている。

VIP室は、その造りと構造は“特別車両”に準じており、豪華な内装となっている。VIP室内や同室に面した廊下に敷き詰められた絨毯(じゅうたん)は、毛足の長い“ふかふか”の特別車両と同じものが使用される。室内には、テーブルを囲んだ4人掛けのソファに、中型モニタ(液晶テレビ)や化粧台(三面鏡台)、専用トイレが備わる。このVIP室とは別に、同じ車両(3号車)には調理準備室と本革張りのシート9席が併設される。

このVIP室は、これまで一度も利用された実績はなく、室内を見学することも許されていない。誕生から19年。この室内に”陽の光”があたる日は、いつのことになるのだろうか。

3号車に連結されるVIP室。その造りと構造は“特別車両”に準じている=2007年7月23日、報道公開で
VIP室をソファ側から見たところ。化粧室側との間は横引きカーテンで仕切ることができる=2007年7月23日、報道公開で
VIP室の窓に備わるロールカーテンは、二重構造となっている=2007年7月23日、報道公開で
VIP室のソファと専用トイレの間に備わる化粧台(三面鏡台)。この左手に廊下へとつながる出入口(扉)がある=2007年7月23日、報道公開で
VIP室に備わる専用トイレからソファのある部屋を見たところ=2007年7月23日、報道公開で
VIP室に備わる専用トイレ。“誰でもトイレ”(身障者対応)となっており室内は広い=2007年7月23日、報道公開で
VIP室のある3号車に備わる調理準備室。この左奥より先がVIP室区画となる=2007年7月23日、報道公開で
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文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元・日本鉄道電気技術協会技術主幹、芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、NPS会員、鉄道友の会会員。

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