佐渡のフェリーをお得に予約しよう
ところで関東から佐渡へどうやって行くのだろうか。調べてみれば、昔は新潟空港から島まで飛行機も飛んでいたらしいが今はない。新潟港と直江津港からフェリーが出ており、これが現在、唯一の島へのアクセスだ。佐渡島内に鉄道はなくバスの本数もルートも少ないので、島内は車でまわるのが現実的だろう。
さっそく佐渡汽船のサイトを開いてみると、カーフェリーは片道2時間半ほどなのだが、人間の輸送はともかく車の輸送費は思ったより高額だ。とはいえ、波の静かな瀬戸内海などの大型フェリーとは違い、かつ波の荒い日本海なので仕方ないのかもしれない。島でレンタカーを借りる手も考えたが、関東からの往復の新幹線とレンタカー代を考えるとむしろ高くついてしまう。
さて、どうしたものかと考えあぐねていると佐渡汽船のサイトでは、往復乗船と初日の宿泊がセットになった個人型旅行プランを紹介しており、一泊分がほぼ浮くほどお得であった(佐渡汽船のまわし者ではないが、チェックしてみる価値はある)。他の日は適当な安宿に見つけて泊まりながら佐渡を一周しようと考えた。
飼い主の顔をドコドコ蹴りだした
初日の朝、関東から車を飛ばし新潟港へ着くと、その日の日本海は青空が広がり、とても穏やかで港には白いカモメたちが出迎えてくれた。カーフェリー乗り場には全長134.7m、5855トンの「おけさ丸」がすでに停泊しており、乗船待ちの車が港に並んでいる。小説に出てくる船と同じ船名である。
車の列に加わると、ひとつ前のワゴン車の後部座席には、柴犬らしき中型犬が家族に抱きかかえられて、後ろを向いて舌を出していた。
しばらくすると誘導が始まって、「おけさ丸」の車両甲板に次々と車が吸い込まれていく。すると窓越しに前の柴犬が、突然、吠えだした。急に暗くなるし揺れるし、ガコーン! と鉄板と車のこすれる音が反響する音が怖いのだろう。怯えて焦る柴犬が、佐渡へと向かう小説の「私」の絶望と重なって見える。(中略)小心者だが、だいぶ暴れん坊のようだ。
この世の終わりのような形相をした柴犬は、飼い主の顔をドコドコ蹴りだし、髪もぐちゃぐちゃにしはじめた。だいぶ暴れん坊でもある。船内の奥まで進んで車は止められ、手荷物を持ち、狭い階段をつたって二等船室へと上がっていく。これから佐渡まで約45キロの船旅である。出発を告げる長い汽笛を鳴らし、「おけさ丸」はゆっくり港を離れた。


