京都駅から歩いて5分。東本願寺の門前に広がる市民緑地「お東さん広場」が、この秋、日本とブラジルの文化が交わる“祭り”の舞台になる。かつて日本人移民がブラジルへ持ち込んだ盆踊りは、現地で独自の進化を遂げ「マツリダンス」として今も愛され続けている。2028年に迎えるブラジル移民120周年を見据え、その“里帰り”というべき文化交流イベント「Matsuri Crossing KYOTO X BRASIL(マツリ・クロッシング 京都×ブラジル)」が、2026年11月6日(金)から8日(日)までの3日間、京都駅前で開催される。企画の中心には、1990年代を代表する歌手・相川七瀬さんの姿もある。
盆踊りが「マツリダンス」となって里帰り――移民120年の物語
話は120年近く前にさかのぼる。1908年、日本からブラジルへ渡った移民たちが持ち込んだ「盆踊り」は、現地の日系コミュニティのなかで独自の進化を遂げた。アップテンポなJ-POPに合わせ、誰でも簡単に踊れる振付をつけた「マツリダンス」は、1990年代、“日本語を忘れたくない”という日系人の思いから生まれ、歌・踊り・生バンド・和太鼓が一体となる野外コンサートとして育っていったという。2028年の移民120周年を見据え、その“逆輸入”というべき文化交流を、京都駅前という好立地で形にしようというのが今回のプロジェクトだ。会場となる東本願寺は、現在の門首がブラジル国籍という縁もあり、宗教・文化の国際化を象徴する存在としても注目されている。
この話題の中心のひとりが、1990年代に一世を風靡した歌手・相川七瀬さんだ。彼女の楽曲は、ブラジルにおける「マツリダンス」の定番曲として長年親しまれてきたという縁があり、2025年6月には日本ブラジル友好交流親善大使に就任している。
今回は企画段階から助言役を担うほか、11月7日・8日に東本願寺境内で行われる特別公演「Culture in Vibration」(1500席限定)にも出演予定。ステージでは、ブラジル北東部の伝統芸能マラカトゥのミュージシャン、ナイルソン・ヴィエイラ氏や打楽器奏者ホメロ・バジリオ氏ら、ブラジルから招聘するミュージシャンのパフォーマンスにつづき、相川七瀬さん本人もバンド編成でライブパフォーマンスを行う。11月6日には、現代美術作家ジョナタス・デ・アンドラーデ氏による野外上映会とトークセッションも開かれる。
パレードにフードマルシェ、輪になって踊る「マツリダンス」――3日間のプログラム
イベントの目玉は、京都駅からお東さん広場まで約400メートルの“つなぐ路”を練り歩くパレードだ。ブラジルの打楽器バンドに加え、地元学生の吹奏楽部やアーバンスポーツチームも参加し、駅前から門前まで賑わいをつなぐ。広場では、ブラジル料理やハワイ・アジア各国の屋台に加え、京都の料理学校や留学生による創作料理も並ぶワールドフードマルシェを展開。アマゾン原産のフルーツであるアサイーを使った和菓子”和サイー”や、ブラジルの国民的カクテル「カイピリーニャ」を伏見の日本酒でアレンジした「サケピリーニャ」なども登場するという。
そしてイベントの核となるのが、老若男女・国籍を問わず誰でも輪に加わって踊れる「マツリダンス」の体験だ。盆踊りとブラジルのリズムが融合したステージを、見るだけでなくみんなで踊りながら楽しむという、“参加する”祭りを目指している。ほかにも、日本×ブラジルの「祭り」をテーマにしたトークセッション、浴衣着付け体験、世界の国々を知るクイズ&ゲームなど、多国籍なプログラムが並ぶ。
東本願寺の門前が“多国籍タウン”に――地域づくりの新モデル
会場の「お東さん広場」は、2023年に東本願寺前の車道が整備された、京都市初の市民緑地。地元住民や周辺店舗の関係者だけでなく、観光客、留学生、外国人就労者など多様な人が行き交う場所でありながら、これまでは互いに顔の見えない関係にとどまりがちだったという。今回のイベントは、2021年から寺院・企業・住民・行政が連携して進めてきた「おひがしさん門前未来プロジェクト」の一環として位置づけられている。年間約7,700万人が利用する京都駅と、徒歩5分の東本願寺門前を結び、“点”だった賑わいを“面”の地域活性化へとつなげる狙いだ。
東本願寺は2024年の能登半島地震後、半年間にわたり石川県での復興支援活動を行ってきた。今回参加するブラジル人アーティストのうち3名は、輪島市大沢・上大沢地区で音楽を届ける企画も準備しているといい、今回のプロジェクトは単なる一過性のイベントにとどまらない広がりを見せている。
主催はMatsuri Crossing事務局(事務局:一般社団法人公共事業研究開発、代表:尾形浩一朗氏)。企画協力に株式会社ザ・セブンシーズ、真宗大谷派(東本願寺)、後援に駐日ブラジル大使館、ペルナンブーコ州政府、レシフェ市、京都府、京都市、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)が名を連ねる。2028年のブラジル移民120周年に向けて、今後は参加国・地域を広げながら継続開催を目指すという。
開催概要
イベント名:Matsuri Crossing KYOTO X BRASIL(マツリ・クロッシング 京都×ブラジル)
会期:2026年11月6日(金)~8日(日) ※開場・終了時間は確認中
会場:東本願寺前市民緑地「お東さん広場」、東本願寺境内、京都駅前・門前一帯(京都市下京区)
アクセス:JR京都駅より徒歩約5分
主催:Matsuri Crossing事務局(事務局:一般社団法人公共事業研究開発)
交流型イベント「Matsuri Crossing KYOTO X BRASIL」公式サイト

