駅直結&すぐの駅ビルと百貨店の寿司店を担当したのは編集 戎誠輝(以下戎)とライター 松岡芙佐江(以下松)です。
さて、覆面調査を始めると、こんな傾向が見えてきました。
戎「チェーン店が多いからか、ファミリー向け、万人に愛される雰囲気の店が多いですね」
松「ええ。お決まりのネタにサーモンが入っていたりと、格式張らない店が多いです」
戎「お腹いっぱいになるよう、シャリもそこそこ大きいですし」
松「どの店もネタは美味しかったですよね」
そう、今回は2500円〜3000円の夜のお決まりを中心に調査したので、ネタはどこも安定していましたが、問題はシャリ。
戎「冷えていて固いような」
松「塊っぽくなっていませんか?」
こんなことが何度もあったのです。
そんななかで白眉だったのが『鮨処 銀座 福助 新宿小田急店』。
「おまかせにぎり 岬」(3240円)を注文してみる。
にぎりは一見大きめだが、口に入れると意外やふんわり。
そうしてネタとシャリが一体となって喉の奥に消えていった。
松「バランスが絶妙!」
また、どれでも好きなものを一貫注文できるサービス付きなのもいい。
どれを選ぶか迷っていると、食べ終わってから改めて注文してもOKとのこと。
なんでも「さっきのお決まりで食べたネタが美味しかったからもう一貫」という粋な注文をする客もいるとか。
我々は結局、
戎「イクラも美味しかったけど、やっぱりアワビ」
松「私はウニ」
と高額ネタを選択しましたが、快く受けてくれました。
百貨店内の店にも関わらず常連さんが多く、開店直後から客が次々と来店していました。
創業55年を誇る老舗チェーン。ネタは毎朝築地から配送され、常時50種を揃える。なかでも必ず味わいたいのはマグロとイクラだ。 ※ランチタイム有
『築地すし好(こう) アキバ・トリム店』も、にぎりをひとつ口にしたところ、口中で崩れるシャリの加減がいい。
天然マグロの酸味やホタテの甘みと混じり合い、するする胃に収まっていく。
聞けば、まとめ炊きを控え、一日に何回も仕込むのだとか。手間を惜しまぬ姿勢に感服です。
寿司、刺身盛り合わせのほか、煮物・焼き物など一品料理も豊富な使い勝手の良い店だ。全24店を擁する「築地すし好」グループでは、社長を筆頭に毎朝築地で仕入れを行う。 ※ランチタイム有
『梅丘寿司の美登利(みどり) 総本店 渋谷店』のカウンターについたら、なんと周りは外国人ばかり!
アメリカ、イタリア、韓国、フィリピンなどから来ていました。
松「板前さんが、とにかく明るい。英語でネタを説明したり、韓国語でお礼を言ったり」
戎「シャリの酢の加減が控えめなのも、食べやすくて人気なのかもしれませんね」
デカネタで人気を博し、行列の絶えない店。お決まりは864円〜とリーズナブルな価格も魅力だが、心底楽しみたいなら写真の「板さんおまかせにぎり」がおすすめ。大トロ、ウニ、子持ち昆布など高級ネタをたっぷりいただける。職人さんはみんな陽気で、カウンターごしの掛け合いも楽しい。美登利 総本店[交]京王井の頭線渋谷駅中央口直結
都内に10店以上ある『築地寿司清(せい)』は東京駅にある店舗へ。
「特選」(2570円)をいただくと、ちょっと小ぶりだが、丁寧な仕事が感じられる江戸前寿司。
となりのテーブルには外国人カップルが。
店員は女性に英語のメニュー表を渡し、ちらしに醤油をかけるか迷っている男性ににこやかに説明している。
どんなお客様にも楽しい時間をという、もてなしの心が、どちらの店からも感じられました。
築地寿司清は創業明治22年、120余年の歴史を持つ寿司チェーン。随所に伝統ある江戸前寿司店としてのこだわりを感じさせる良店だ。[交]JR東京駅八重洲地下中央口から徒歩1分 グランルーフ B1F ※ランチタイム有
駅ビル内は大手チェーン店ばかりなのかと思いきや、そんなことはありません。
『すし京辰(きょうたつ)』は全5店。
店舗によりメニューや味付けも異なると知り、2カ所訪ねてみた。
東京駅八重洲口店のお決まり「京辰」(2600円)は、大間のマグロ、金樽鰯(きんたるいわし)など希少ネタが入ったもの。
シャリは赤酢使用で酸味が強く、小ぶりだった。
松「もう少し量があればなあ」
戎「つまみと酒を楽しんだ後に食べる寿司という感じですね」
恵比寿店は、シャリの大きさも程よく、赤酢のきき具合もまろやか。築地の仲卸『石司(いしじ)』で仕入れるという店自慢のマグロも風味豊かで、個人的には恵比寿店が好みでした。
『すし京辰』は無農薬有機栽培の米に赤酢と塩で調味したシャリと、最高級のネタを合わせ、手ごろな価格で提供している。[交]JR恵比寿駅東口からすぐ ※ランチタイム有
有楽町の交通会館にある『照鮨(てるずし)』は、夜は夫婦で切り盛りする個人店だ。
常連さんにまぎれてテーブル席につき、「上にぎり」(3024円)を注文すると、寡黙そうなご主人が黙々とにぎり始めた。
まずは6貫、皿を差し出しつつ奥さんが「まだありますからね!」と明るく声をかけてくれた。
寿司のネタはどれもつややか、赤酢のきいたシャリで味が締まって美味。
そして、いいタイミングで二皿めを出してくれた。
松「軍艦の海苔がパリパリ!お好みでなくてもにぎりたてを食べられるっていいですね〜」
照鮨 (てるずし)は駅ビルには珍しい個人経営店。創業70年と、有楽町駅前に東京交通会館が建てられる前から寿司店を営んでおり、ご主人の加賀達夫さんは2代目だ。[交]地下鉄有楽町線有楽町駅 ※ランチタイム有
本記事でご紹介した店は、どれも駅近で便利かつ美味しい。
さらにひとりでも安心して入れる気安さを持ちつつ、素敵なサービスで客をもてなしてくれる良店ばかりです。(松岡芙佐江)
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