『おとなの週末Web』では、手作りの味も追求していきます。なかでも酒とともに味わう肴にはこだわりたいものです。手作りだからこそ味わえる、市販のものとは天と地ほどの別物の味が魅力です。そんな「おとなの週末」を楽しんでいる手作り好きから、季節の自慢の酒肴を紹介してもらう企画。「週末手しごと 酒肴二十四節気」と題した、食の歳時記です。
ちょい隠居ジジイの週末手作り ちりめん山椒から、塩辛、柚子こしょうまで
66歳のオイラ。いつのまにか、血圧高めの年金生活ジジイとなりました。会社勤めも定年となってちょい隠居気分。とはいえ、まだ完全隠居状態には至らず、勤めも細々継続。さしずめ、半農半漁ならぬ「半隠半勤」の日々といったところです。
そんなジジイの週末の楽しみは、酒の肴をみずから作ること。よく作るものは、ちりめん山椒を筆頭に、いかの塩辛、しめ鯖、いくらしょうゆ漬け。漬け物では、梅干し、かぶ漬け、白菜漬け。そして、調味料では、青唐辛子を栽培し、ゆず胡椒も自家製のものを楽しんでいます。いずれも、市販のものよりも、はるかにうす塩でおいしくできるからです。血圧にもやさしい酒肴なのです。
きっかけは、大好きな、ちりめん山椒作りからでした。
5月から6月のわずかな時季にだけ出まわる緑美しい実山椒。同じ頃、梅雨入り前の魚屋に並ぶ小ぶりなちりめんじゃこ(イワシの稚魚)との相性は抜群。その加工品・ちりめん山椒は、ごはんの友としても、酒の肴としても最高にうまい! けれど、デパ地下でも街中のスーパーでも、ちりめん山椒は案外高価で、しかも少量。名店のものでは50gで1000円も超えてしまいます。
「もっとドカンと食べたい。なら、オイラが自分で作るか……」
と、たくさん食べたい願望からの手作りと相成りました。
早朝の築地まで行けば、材料は「安値大量」と聞き、さっそく実山椒を箱買い(2kg5000円ほど)。出始めの宮崎産ちりめんじゃこも1kg4000円くらいで、ピカピカのこぶりもの(全長1cmほど)が手に入りました。
街中の魚屋では、デパ地下にある「湯島丸赤」や、高級スーパー「明治屋」「紀ノ国屋」あたりが最高のちりめんじゃこを扱う、と勝手に思っています。が、そこいらでは「50g=400~500円」くらいが当たり前。しかし、築地値段ではじつに2分の1以下の値段なのです。この差はあなどれません。オイラの経験からは、築地値段と街中値段において、ちりめんじゃこほど価格差のある塩干ものはないと断言いたします。