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京都市内だけを巡って、帰路に着いていたあなたへ。古都の北と南、千年の都を支えてきた山々と川の向こうには、さらなる美味と豊かな自然、悠久の歴史が眠っています。新たな京都と出会いに、いざ森の京都、お茶の京都、海の京都へ。 今回は、「森の京都」後編です。京都市の北西に広がる、緑豊かな土地。険しい山から湧く水源は多様な農作物を育みます。昔からの里山が残る、”森の京都”を旅してみよう。

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山深き丹波を駆けた悲運の武将ゆかりの城

美山を出発したら西へ。一路、福知山を目指す。途中、2015年に開業した京丹波和知インターチェンジから、京都縦貫自動車道へ。山が険しい地形のために、京都府では南北交通網が発達せず、この道路の完成は住民の悲願だったそうだ。急峻な山々を眺めながら、道路の敷設に尽力した人たちの労苦を想う。

この地勢に翻弄されたのが、あの智将・明智光秀だった。織田信長の命で丹波国(京都府中部と兵庫県東部)攻略に乗り出すも、平定まで足かけ5年。名将・光秀にしては遅攻と評価された。進軍を阻む山々、また有力豪族が里山に点在し、反撃や裏切りに苦しめられたという。

苦難の末に丹波を平定し、光秀が拠点としたのが福知山城。天守閣に登れば、ここが由良川と土師川の合流点で、交通の要であると確認できる。丹波統治にはここしかなかったのだ。

福知山城の御城印300円

帰りに森の京都名物「御城印」を購入。印刷された明智の家紋・桔梗紋を眺めると、信長に忠誠を誓って丹波平定に尽くした、在りし日の光秀の姿が脳裏に思い浮かんだ。

生産地と食卓が近い それが森の京都の魅力

さて、光秀が命運を託した由良川を上流へ。

京丹波町まで遡ると、カフェ『菓歩菓歩』が姿を現す。パティシエの石橋香織さんお手製、地元の果物を使ったビオスイーツが評判だ。春に口福を呼ぶのが、甘みと酸味が爽快な地元産イチゴのパフェ。

「日照時間が短い京都ではイチゴ農家が少ない。亀岡『宮前農園』は、今注目の作り手です」。

またスタッフが畑で育てた野菜が盛り込まれるランチプレートもあって、食卓と生産地が近い、森の京都らしい光景だ。

京都市内に戻る前に立ち寄りたいのが森の京都の“出口”、亀岡市の焼肉店『ひら山』

和牛は京都産のみをオンメニュー。卸も担うために、一頭買いは当たり前で、手頃な価格で多様な部位を楽しめる。

手前が希少部位5種盛り3980円。左奥から、ほどよくサシの入ったササ、霜ふりが美しいヒウチ、赤身の旨みが濃いマルシン、脂の甘いイチボ、とろける食感のザブトン。奥が特選和牛霜降りタン2300円。京都牛一頭から2人前しか取れない代物

京都産のタン元は、他ではなかなかお目にかかれない代物。人気の高い希少部位の盛り合わせはもちろん地元産だ。店舗に隣接して精肉センターがあるために、この店もきわめて生産地と近い。

土地のものを土地で食べる。本来の食、美味しさの姿に、森の京都で出会った心地がした。

福知山城

[住所]京都府福知山市字内記5
[電話]0773-23-9564
[営業時間]9時~17時 休火(祝の場合は営業、翌日休)
[入場料]大人330円、小人110円
[交通]JR山陰本線・福知山線、京都丹後鉄道福知山駅から徒歩15分

ひら山 亀岡市【焼肉】

[住所]京都府亀岡市千代川町高野林西田6-1
[電話]0771-29-4148
[営業時間]11時~14時LO、17時~22時LO
[休日]水
[交通]JR山陰本線千代川駅から徒歩8分

菓歩菓歩(bio sweet’s capocapo)京丹波町【カフェ】

[住所]京都府船井郡京丹波町坂原ショウガキ16
[電話]0771-84-0959
[営業時間]11時~18時 休火・水(祝の場合は営業)、その他不定休あり
[交通]JR山陰本線和知駅から徒歩20分


撮影/西崎進也、文/岡野孝次

※データは、2022年4月号発売時点の情報です。
※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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