宇治川の水流が育んだ茶の故郷を巡る旅へ
茶道といえば京都が世界に誇る文化だが、その発展には宇治が欠かせなかった。水はけのいい扇状地が多く、昼夜の寒暖差が大きい京都南部は、茶栽培に適した土地。宇治川の水運が都の茶需要を支えてきたのだ。
そもそも『宇治茶』とは、宇治伝統の製法で加工した緑茶を指し、原料となる茶葉の栽培は奈良・滋賀・三重に跨またがっている。
その3県と接するのが、京都府唯一の村・南山城村。2017年に『道の駅 お茶の京都みなみやましろ村』が開業して以降、村は嬉しい驚きに沸いている。
社長の森本健次さんは、元は村役場の職員。「村は良質なお茶の産地ですが、残念ながら、宇治茶だと認識されていない。ならば極上の抹茶をスイーツに生かして、村の茶の魅力を発信しようと考えました」。
道の駅の定番、野菜の即売に加え、自社製プリンなどの販売に力を入れる。
スイーツの評判を聞きつけた客で、店は大繁盛。さらに村を驚かせたのが、盛況を聞いた世界的ホテルの進出だ。
道の駅と隣接して、客室の窓から茶畑を望める『フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろ』は、茶の京都の観光拠点としてふさわしい場所ともいえる。
そこから車で30分。木津川市にあるのが、1047年創建の『浄瑠璃寺』だ。国宝級の仏像を安置しながらも、幾度となく廃寺の危機に直面。しかしその度に檀家などの住民の力で、困難を克服してきた。
宇治では『WITTE DEWITH』が住人に愛されている。渡辺朋之シェフが手がける気軽なビストロは、ちょっと前の宇治にはなかった切り札だ。
豪快な盛り付けの前菜からメインまで、噂の新味をナチュラルワインと楽しみ、“お茶の京都”の旅を締めたい。
お茶の京都みなみやましろ村/南山城村【道の駅】
[住所]京都府相楽郡南山城村北大河原殿田102
[電話]0743-93-1392
[営業時間]つちのうぶ8時~9時半LO(土・日・祝7時半~)、11時~15時半LO、村茶屋9時半~17時 のもん市場(野菜、お土産)、村民百貨店(生活用品)9時~18時
[休日]不定休
[交通]JR関西本線月ケ瀬口駅から徒歩10分
フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろ/南山城村【ホテル】
[住所]京都府相楽郡南山城村北大河原殿田105
[電話]0743-93-1555
[宿泊プラン](2名1室、食事なし)1室1万4520円〜(税・サ込)
[交通]JR関西本線月ケ瀬口駅から徒歩10分
浄瑠璃寺/木津川市【寺院】
[住所]京都府木津川市加茂町西小札場40
[電話]0774-76-2390
[営業時間]9時~17時(本堂拝観受付~16時半)※12月~2月は10時~16時(本堂拝観受付は~15時半)
[拝観料](本堂)400円※境内は入場無料
[休日]無休
[交通]木津川市コミュニティバス当尾線「浄瑠璃寺」からすぐ
WITTE DE WITH(ヴィット・デ・ウィット)/宇治市【ビストロ】
[住所]京都府宇治市宇治妙楽17-8 中宇治yorin 1階奥
[電話]0774-25-6335
[営業時間]11時半~14時LO、18時~21時LO
[休日]水、第3木
[交通]JR奈良線宇治駅南出口から徒歩5分、京阪電気鉄道宇治線宇治駅から徒歩8分
撮影/西崎進也、文/岡野孝次
※データは、2022年4月号発売時点の情報です。
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