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カキが旨い季節がやってきた。ジューシーなカキフライ、炊きたてのカキご飯、茹でたカキに甘味噌をつけて焼くカキ田楽もオツだ。カキ漁師は、海で採れたてのカキの殻からナイフで身を剥いて、海で洗ってそのまま生で食べるのが好みだという。

そんなカキ漁師の旅の本が出版された。カキじいさん、世界へ行く!には、三陸の気仙沼湾のカキ養殖業・畠山重篤さんの海外遍歴が記されている。

「カキをもっと知りたい!」と願う畠山さんは不思議な縁に引き寄せられるように海外へ出かけていく。フランス、スペイン、アメリカ、中国、オーストラリア、ロシア……。世界中の国々がこんなにもカキに魅せられていることに驚く。そして、それぞれの国のカキの食べ方も垂涎だ。これからあなたをカキの世界へ誘おう。

1960年のチリ津波地震を経験したかきじいさん。2011年の東日本大震災でも津波の恐ろしさを身をもって知りました。海面が引いた後、7~8メートルの波が押し寄せ、家や養殖筏が次々と流される中、3歳の孫を抱え高台へ避難。多くの家が消え、被災者たちはあきらめの覚悟で寒い夜を乗り切ろうとしていました。

連載18回「8メートルの波が押し寄せて…最大クラスの「巨大地震」で、多くの人が誤解している地震の「本当の怖さ」」にひきつづき、東日本大震災のカキ復興の手助けをしてくれたルイ・ヴィトン家を訪ねる旅である。どんな胸躍る出会いがあるのだろうか。

【前回まで】
1960年のチリ津波地震を経験したかきじいさん。2011年の東日本大震災でも津波の恐ろしさを身をもって知りました。海面が引いた後、7~8メートルの波が押し寄せ、家や養殖筏が次々と流されるなか、3歳の孫を抱え高台へ避難。多くの家が消え、被災者たちはあきらめの境地で寒い夜を乗り切ろうとしていました。

電気・ガス・水道は止まり、ラジオだけが情報源

暗くなってきて、雪も降ってきました。杖をついているおばあちゃんもいます。みんなで支えあって、わたしの家に向かいました。

雑木林のすきまから、そっとのぞいてみました。黒い瓦屋根が見えます。わたしの家は流されなかったのです。急いでみんなのところにもどり、家が無事だったと伝えると、みんなほっとした顔になりました。自宅を解放し、お年寄りと女性たち優先で部屋に入ってもらい、男たちは廊下や、車の中で寒さをしのぎました。

電気、水道、電話は止まり、ケータイも通じません。ポータブルラジオが唯一の情報源です。被害は、茨城県北部から青森県の八戸まで500キロメートルにわたっていて、亡くなった人は、万を超えている、というのです。福島の原子力発電所のことも報じられはじめました。千年に1度という、歴史的大災害のまっただ中にいるのだという気持ちがひしひしと伝わってきて胸が苦しくなるばかりでした。

ドカン、ドカン、気仙沼市街の方から爆発音が聞こえてきました。石油タンクに火がついたのではと思いました。真っ黒い煙が空いっぱい広がってきたのです。

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母の死
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高木 香織
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