2025年春に大阪市の大阪駅前に開業したばかりの複合商業施設『グラングリーン大阪』の南館地下一階に、フードコート『タイムアウトマーケット大阪』がある。筆者は大阪・関西万博の開幕前後は関西出張が多くて、大阪駅を使う頻度があがり、大阪出張のたびになんとなくのぞきたくなるスポットになっていた。集まっている人たちも、出張帰りのビジネスマンから地元の若者、インバウンドの旅行者、ベビーカーを押したママたちなど、さまざま。気軽に人が集える広場のような空間だった。
街を知る目利きが厳選して「編集」した超グルメマーケット
タイムアウトは、1968年に英・ロンドンで創刊されたシティガイド。世界59ヵ国333都市で展開するグローバルメディアでもある。『タイムアウトマーケット』とは、その「タイムアウト」の地元編集部が選んだ名店を集めた空間だ。タイムアウト東京編集部でも仕事をする機会が多いので、かなり前にそのオープンの情報を聞いたのだが、「ん? タイムアウトが飲食店? どういうこと?」と最初は意味が分からなかった。ドバイを取材したとき、あの噴水ショーで有名なダウンタウンの中心地にある『タイムアウトマーケットドバイ』を訪れてようやく納得。これは街を知りつくした目利きによって「編集」されたフードコートスタイルの空間なのだ。
『タイムアウトマーケットドバイ』ではアラブ首長国連邦(UAE)の伝統的なエミラティ料理はもちろん、イタリアン、チャイニーズ、そしてヤキトリなどの各国料理のブースが並び、広いフードコートの3か所にタイムアウトバーなるバーカウンターが点在。各ブースには編集部のエディターによる紹介コメントが。そしてQRコードをスマホで読み取ると、その店のさらなる情報が読めるという仕組みだ。
戒律の厳しいイスラム国のため、お酒を提供するのはホテルのバーなど限られているが、ここでは日中でもバルコニーなどで高層ビルが並ぶ摩天楼を楽しみながら、ビールやカクテルを手にできる。実際、欧米からの旅行者は、かなりリラックスしている様子だった。
フロア内にはステージがあり、ライブやショーなども開催。地元アーティストのインスタレーション(芸術作品の空間展示)が見られるなど、その街のカルチャーに触れられるのも魅力だ。ドバイ・ファウンテン(噴水)を鑑賞しに来た観光客はもちろん、アルコール禁止の「ドライエリア」なるコーナーもあり、さまざまな人が行きかう場となっている。