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年間を通じて賑わう京都で、静かな滞在を楽しみたいときにおすすめのホテルがある。『清水寺(きよみずでら)』の隣の高台に位置し、客室から京都の市街地を見渡たせる『バンヤンツリー・東山 京都』だ。2024年8月20日に開業したばかりの話題のラグジュアリーな宿には、幽玄な竹林を背景に現代的な能舞台と、天然温泉も備わる。観光名所の祇園まで徒歩圏内という利便性が高い場所にありながら、自然に包まれた森閑とした場所で、俗世を離れたような寛ぎのひとときが過ごせる。

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自然豊かな東山の景観と調和、木のぬくもりを感じるデザイン

JR京都駅からホテルへ、タクシーで約20分。場所はちょうど『清水寺』と『高台寺(こうだいじ)』の境にある。二年坂と三年坂のほか、祇園エリアにも十分歩いて行けるので、観光を楽しんでからチェックインするのもおすすめだ。

到着すると、正面玄関で、檜などの天然素材で仕上げられた大ヒサシが出迎えてくれた。木のぬくもりを表現したホテルのひとつのシンボルともいえる造形には、誰もが圧倒されるだろう。無理もない。このホテルのデザインに関わった人物の名前を知れば、納得するはずだ。

『バンヤンツリー・東山 京都』のモダンな外観

隈研吾氏(71)は、木材を巧みに用いて自然の中に溶け込むような設計で高く評価されている世界的な建築家だ。代表作に国立競技場があると言えば、イメージがわきやすいだろう。

ホテルは、約5850平方メートルの敷地に地上4階・地下1階の構造。客室は52室を有する。設計は東洋設計事務所(京都市)と入江三宅設計事務所(東京・赤坂)が担当したが、デザインを監修するデザインアーキテクトは、隈研吾氏率いる隈研吾建築都市設計事務所(東京・南青山)だ。

20カ国以上にホテルやリゾートを展開する「バンヤン・グループ」は、日本の文化や建築様式をグローバルブランドのこのホテルに取り入れるため、日本古来の木材を活かしつつ、風土に根づいた有機的な建築を手がける隈氏を起用した。能舞台は、そのコンセプトを具現したひとつと言えるだろう。開業当日の式典で、隈氏も、豊かな森がある「東山」の魅力に触れた上で、能舞台をホテルの象徴にしたことを説明したという。

ホテルへと続く『龍馬坂』

実はこのエリアには坂本龍馬をはじめ、志士たちを祀る『京都霊山護国神社(きょうとりょうぜんごこくじんじゃ)』があり、幕末の歴史と深い関わりを持つ、神聖な場所でもある。

二年坂を筆頭にカフェや雑貨店も多い周辺エリアは賑わっているが、そこから道を一歩入り、龍馬坂を登りきったこのホテルまで来ると、観光地の喧騒は消え、一転して静寂に包まれる。

ガラスや木、石など、自然素材でつくられた和の趣を感じるロビー
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“この世とあの世の境”を体現した「能舞台」に注目
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中村友美
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