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本誌(「おとなの週末」)と結構かぶってますね
「おとなの週末」本誌で約10年間にわたって覆面ライターを務めている菜々山いく子(以下菜)が、2016年版ミシュランガイドのビブグルマンに初登場した店を、勝手に再調査。
良いも悪いも、ありのままをご報告いたします!

今回調査したのは、餃子、うどん、ラーメン、カレーなどのいわゆる庶民の味・B級グルメ。

まずは餃子部門で注目したのが代々木上原の「按田餃子」 へ。

按田餃子(代々木上原)

キレイになれる!? 独創的な水餃子

写真:豚 大根と搾菜 486円

菜「へえ、この店は本誌でも取り上げたことないみたい」

ビブグルマンの料理の評価という項目にはこのように書いてある。
【5000円(サービス料、席料含む)以下で特におすすめの食事を提供している】
実は、本誌が基準とする「ひとり5000円程度で食事ができる店」という基本路線にかぶっているせいか、自慢じゃないが(自慢だが)かなりの割合で過去に掲載した店が載っている。
ぶっちゃけ、「『おと週』読んで調査する店の選定してない?」って個人的に思っているフシはある。
話はそれたが、コチラの名物の水餃子は皮に特徴アリ。健康と美容を意識したハトムギ粉入りで、厚くてモッチモチの食感だ。
同行した編集・武内氏(以下武)も武「なんか素朴な味でいいなあ。すきだなあ」
結論→ビブグルマンも質実剛健な良い店探してくるじゃん!

按田餃子
料理家の按田優子さんが2012年に開店させた餃子のお店。水餃子の皮が白ではなく茶色いのが特徴で、生地に遠赤外線焙煎した殻付き全粒ハト麦を練りこんでいます。香ばしいハト麦の香りはもちろん、健康にも配慮。餃子の中の餡には国産の鶏肉や豚肉、そして野菜をたっぷり使っておりヘルシーで女性には嬉しいメニュー。ピリ辛の和え麺の泡菜乾麺は、野菜の漬物がトッピングされてお洒落なうえに食感も楽しい1品。ビブグルマンに相応しいお店です。

料理家・按田優子さんが2012年に開いた店。名物は茶色い皮をまとった水餃子だ。生地には殻付全粒ハト麦を遠赤外線焙煎した粉を練り込んでおり、香ばしい風味もさることながら健康や美容にも気づかっている。按田餃子(あんだぎょうざ)代々木上原駅西口、徒歩3分

さて、阿佐ヶ谷の「餃子坊豚八戒」。こちらは餃子業界では有名店。

餃子坊 豚八戒(阿佐ヶ谷)

鶏ガラスープで奥深いコクの餡

写真:華餃子 580円

モチロン本誌は何度も取り上げている。改めて行ってみると、餃子の美味しさは健在。加えて、ビブグルマン掲載という敷居の高さを一切感じさせない、変わらぬ気軽さもいい。 気の合う仲間と、餃子をつまみに紹興酒をグイグイやる。そんな過ごし方が似合う店だ。

餃子坊 豚八戒
ハルピン出身の女性店主が切り盛りするビブグルマン獲得店。女性店主目線で作られた餃子ということで、すべてのメニューがにんにく不使用。女性はとくに口の臭いが気になりますので嬉しい配慮です。大きな羽が特徴の華餃子は、桂皮や八角といった漢方食材を使用しており香りが爽やか。従来のコテコテした餃子が苦手な方にもおすすめ。もちろん唐辛子や山椒で作ったラー油をかけると、アッサリした餃子にアクセントと香り、旨味がプラスされて食欲がそそられます。

大きな羽根が特徴的な「華餃子」は、桂皮や八角などの漢方食材を使用し、香りも爽やか。餃子はすべてにんにく不使用なので、翌日を気にせず味わえるのもうれしい。餃子坊 豚八戒 [交]JR中央線 阿佐ケ谷駅から徒歩2分、東京メトロ丸ノ内線 南阿佐ケ谷駅から徒歩8分

さて、うどん部門。水天宮前 にある 「讃岐うどん谷や」へ 足を運んだ。

讃岐うどん 谷や(水天宮前)

“3たて”で風味豊かな讃岐うどん

写真:谷やスペシャル 1500円

武「ココも取材済み?」 菜「うん、とりあえず大将がイケメン♥なんだよね~」

久々に行ってみると、“打ちたて、切り立て、茹でたて” の “3たて”を出す方針は変わっていないようで、ひっきりなしに打ち場から、うどんを切るリズミカルな音が聞こえてくる。
讃岐うどんの中でも太麺で、かなりのモチモチ感と、強い小麦の風味がたまらない。そして大将もやっぱり男前。
数年前とちょっと違うのは、外国人観光客の姿もチラホラ見受けられるところか。もし英語が話せるなら、「東京のうどん屋の中でも、 この店チョイスしたの、ナイスよ!」と言ってあげたい。

讃岐うどん 谷や
香川県高松市にある人気うどん店「もり家」で長年修行した店主が打つ讃岐うどんは、モチモチとしたコシとつるんとしたのど越しで人気があります。しっかり足ふみして作った生地を「打ちたて、切りたて、茹でたて」の3たてで提供。香川流のうどんはダシにイリコを使用しており風味豊かです。1500円で頂ける「谷やスペシャル」は大き目の海老天に半熟玉子天、わかめ、牛肉煮など具たくさん。ビブグルマンに相応しいコスパとクオリティーです。

香川県高松市にある人気うどん店「もり家」で長年修業を積んだ店主が打ち上げる讃岐うどんは、モチモチとした強いコシと、ツルリとした喉ごしなめらかな質感を持つ。毎朝、足踏みしてきたえた生地を、打ちたて、切りたて、茹でたての“3たて”で供するのを信条としている。讃岐うどん 谷や 水天宮前

一方、それほどナイスチョイスとは思えない店もあった。六本木にある「H」だ。つまみは、どれも洗練されてていい味だし、接客もカンペキ。
肝心のうどんについては、 武「悪くないですね」
喉ごしもいいし、美味しいと言ってもいい。
しかし! 菜「かけうどんが1000円ってどうなよ?」

私が最もよく行くうどん屋「丸亀製麺」なんて290円だっつの!
武「それは、比べるモノではないんじゃないかと……」

そんなの分かってる!

賃料もめちゃくちゃ高そうだし、センスのいい和の設えの内装にもお金かかってそう。スタッフだって大勢いる。菜「でも、うどんって、もっとニッポン人の日常に寄りそう食べ物だと思うの!」

ビブグルマンの調査員さん、コスパってものをもうちょっと意識してみてもいいかも。

おでん部門で、今年新規に掲載されたのは1軒だけ。大正4年創業の浅草・千束にある「大多福」だ。
ビブグルマンの紹介記事はこう綴られている。【古き良き日本を肌で感じることができる1軒だ】
菜「月並みな表現だけど、実際そうなんだよね」

大多福(浅草)

丁寧な仕込みで変わらぬ味を守る

写真:おでん盛り合せ(大根 330円、たこ足 760円、焼どうふ 220円 、つみ入れ 330円、こんにゃく 110円 、昆布 110円、半ぺん 430円)牛すじ煮込み 900円

大きな提灯の灯る風情ある入り口の扉を開けると、ダシの香りがぷぅんとくる。カウンターでは店主と談笑しながらおでんをつつきつつ酒盃を傾ける人々。 百年前と変わらぬ光景だろう。
武「いい雰囲気ですなあ」

約40種類あるおでん種は、それぞれ素材によって仕込みを変えているそうで、実はとんでもなく手間ひまをかけているのだ。 それを自慢するでもなく、サラッと出す。粋ですねえ。 菜「歴史、味、風情。東京のおでん屋の王者です!」

この店が選ばれるのは道理。 なんならもっとはやく掲載して欲しかった。

大多福
大正4年創業の老舗おでん屋。お店で提供されているつゆはカツオと昆布から取るダシを使い、なんと戦前から継ぎ足して作られているというから驚き!さすがビブグルマン獲得店。おでんの種は常時36種類準備されていて、大根・たこ足・焼き豆腐など好きな具が選べるのが嬉しい。大根は3日かけて味を染み込ませ、生イワシの身を丁寧にすり潰して作ったつみ入れなど手間暇かけて作られたおでんは心に染みる味。店内も木のぬくもりが暖かく長居したくなります。

大正4年から続く老舗。琥珀色の澄んだツユは、カツオと昆布から取るダシをベースに、戦後から継ぎ足し作られている。それに浮かぶのは常時36種類揃うおでん種。3日間かけて味を煮ふくめる「大根」や、生のイワシの身を丁寧にすりつぶして作る「つみ入れ」など、それぞれの具材に合わせた手間ひまかけた仕事で、変わらぬ味を守り続けている。

さてさて、ここからは、みんなが大好きラーメン部門です。
今回、再調査したのは計4軒。 「銀座篝」、大塚「鳴龍」、上北沢「らぁめん小池」、野方「花道」だ。それぞれ、鶏白湯、担々麺、煮干し、味噌と、ジャンルは様々。
鶏白湯の「銀座篝」は、超人気店。

銀座 篝(かがり)(銀座)

行列の絶えない人気店も登場

写真:鶏白湯SOBA(並) 950円

白濁したスープはトロリとして、鶏の旨みを凝縮しつつも、不思議と軽やか。トッピングの野菜も手が込んでおり、調査したこの日は、正月があけて間もない頃。六方剥きにされたクワイが乗っていた。
菜「季節感を演出してくるラーメンは初めてだわ」

銀座 篝
2013年のオープン以来つねに行列の絶えないビブグルマン認定店。人気メニューは「鶏白湯SOBA」や「煮干醤油SOBA」。前者は豚の背油や丸鶏、すねつきモミジなどを煮込んだクリーミーなスープが特徴。まるでポタージュのようにトロリとしており濃厚な味わいが人気です。煮干醤油SOBAはげんこつや煮干しに香味野菜の旨味がマッチングした1杯。ほかにも焼きおにぎりとフキ味噌、明太子の取り合わせなど美味しいメニュー盛りだくさん。

2013年のオープン以来、瞬く間に都内でも指折りの人気ラーメン店に成長した。
看板メニューは「鶏白湯SOBA」「煮干醤油SOBA」銀座 篝

「鳴龍」の担々麺も見事。

創作麺工房 鳴龍(大塚)

奥深いコクのスープに合わせた自家製麺

写真:担担麺 800円

歯切れのいい自家製の細麺に絡むのは、ゴマの風味たっぷりで、キレのあるスープ。
武「担々麺ってワリとずっしりくるタイプが多いけど、ここのはバランスがサイコーです!」

でしょう。実は以前から何度も通っている。行列ぎらいな私でさえも、この店だけは開店前から並んででも食べたいと思う味なのだ。

創作麺工房 鳴龍
人気メニューは自家製の芝麻醤とラー油が香ばしい担々麺。店内には製麺機を設置し、醤油味のスープやつけ麺など種類に応じて使い分ける念の入れよう。看板メニューである担々麺には細麺を使用し、辛さは控えめで甘味と酸味の絶妙なバランスと上品な味わいに仕上げています。「さすがビブグルマン獲得店」と思わず唸る美味しさ。ほかにも肩ロースと豚バラの2種類のチャーシューが乗る醤油チャーシュー麺も人気です。

「創作麺工房 鳴龍」の人気は自家製の芝麻醤とラー油が豊かに香る「担担麺」だ。担々麺の概念をくつがえす、上品かつマイルドな味わいを堪能したい。店内にある製麺機で打ち上げる自家製麺は、醤油味、つけ麺など、それぞれのスープに合わせて使い分けている。[交]JR山手線大塚駅(南口)より徒歩6分 ※ランチタイム有

他にも味噌ラーメンの「花道」では、シャキッと炒められたモヤシの食感と、モチモチ太麺の相性が抜群だったし、 「らぁめん小池」では、ガツンときかせた煮干しスープが後をひく旨さ。どこも、甲乙つけ難いかなりの高レベル。
ただ! 前述の2軒が、ほんの少し抜きん出ている印象。どの店でも共通していたのが、接客にも、すごく気を配っていたこと。味はモチロン、そんなところもビブグルマン調査員の目にとまったことは明らかだろう。

お次はこれまた国民食のカレーだ。カレー部門にノミネートされたのは、すべて新規掲載店。つまり、2016年版からこのジャンルが創設されたのだ。

荻窪の「トマト」は、本誌の常連。たっぷりの野菜やフォンドボーを使って、1週間以上かけて作られる欧風カレーは、とんでもなく深みがあるし、他店ではマネできない美味しさだ。
神保町の「共栄堂」も“スマトラカレー”という独自の味を、 大正13 年から打ち出し、全国にファン多し。
押上にある「スパイスカフェ」の南インド料理をベースにしたカレーは、都内屈指とも言われている。

スパイスカフェ(押上)

スパイスの香りきわだつ南インド風カレー

写真:ペアカレーランチ 1400円

スパイスカフェ
世界中を旅した店主が南インド地方の料理をベースにしたメニューを提供するビブグルマン獲得店。カレーは複数のスパイスを使い、爽やかでスパイシーな香りが引き立つ本格的な味。カレーの具はチキンやラム、豆や野菜など盛りだくさん。ランチとディナーがあり、ランチはカレー、副菜、ライス、デザート、ドリンクのセットメニュー。カレーも美味しいのですが築50年以上の古いアパートをリノベーションした店内も雰囲気満点で素敵です。

世界中を旅した店主が作るのは、あっさりとした南インド地方をベースにした料理が主軸。カレーはどれもスパイスの爽やかな香りがきわだつ本場の味だ。スパイスカフェ 営団地下鉄半蔵門線、都営地下鉄浅草線押上駅 B3出口より徒歩15分 ※ランチタイム有

菜「国別にカレーのトップバッターを揃えたって感じかな」

王道すぎて意外性にかけると思っていたら、あるじゃないですか。スープカレーの「Y」が!
本誌でも未掲載なので、さぞかし隠れた名店なのかと思っていたのだが、食べてみるとふたりの頭に「???」が。 菜「……フツーじゃない?」 武「フツー……ですよね?」

ひょっとして調査員さんって、 スープカレーの店、あまりご存知ない? もっと旨い店、他にいっぱいあると思うけど。なんなら本誌カレー特集のバックナンバーをご購入&熟読していただき、来年のラインナップの参考にされてはいかがかな。

そして、最後はお好み焼き。「OSAKAきっちん。銀座本店」は、接客も雰囲気も良く、 接待やデートにも使えそう。

OSAKAきっちん。銀座本店(東銀座)

フワフワ食感のお好み焼きを

写真:OSAKAきっちんスペシャル 1620円

鉄板焼きも充実していて、単なる焼きトマトも、パリパリのチーズの羽根をまとわせるなど、演出も巧みだ。さて、お好み焼きはというと、 武「サクッとしてふわっふわ」

かなりの厚みはあるけど、飲んだ後でもペロリといける軽やかさ。ともすると、ソースの味が勝ってしまいがちだが、ここのは具材の味も、生地のダシの風味も、それぞれがキチンと存在感を主張している。
菜「この1枚に大阪の英知が結集してる!」

有名店とは言い難いこの店を発掘して評価するって、なかなかやりますね。

OSAKAきっちん。銀座本店
黒毛和牛サーロインステーキのような高級素材はもちろん、お好み焼きや焼きごま豆腐などの庶民的な味も楽しめるビブグルマン獲得店。市場から直接仕入れる魚介類は刺身でもそのまま食べられる鮮度のものを厳選しており、新鮮な素材で作るお好み焼きは絶品。つなぎに水分少なめの大和芋を使用し、まるでパンケーキのようなふわふわ食感のお好み焼きが大好評。焼きごま豆腐は自家製ゴマ豆腐を表面カリカリに焼いたもので中はもっちり。

〆には、つなぎに水分の少ない大和芋を使用する、ふっくらとしたパンケーキのような食感のお好み焼きを。外側をカリッと焼いた「焼きごま豆腐」などの独創的なメニューも魅力だ。OSAKAきっちん。銀座本店[交]東京メトロ日比谷線・東銀座駅から徒歩1分

とまあ、ここまで色々書いてきたけれど、世界的権威のある本に、本誌がこれまで取り上げてきた数々の飲食店が載るってのは、実はちょっとうれしかったりもする♥
今後も、『おとなの週末』は、ビブグルマンに注目していきたいと思います。

2016年3月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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