まちの喫茶店。喫茶店と呼びたい店は、カフェと呼ばれるところよりどこか温かみがある気がする。人肌を感じるというか絶妙な湯加減の風呂のようとでも言うか……。今回はそんな、時を忘れさせてくれる居心地のいい喫茶店をご紹介します。
画像ギャラリー東京都内の喫茶店グルメ5傑
数ある喫茶店メニューですが、今回はちょいと知られた逸品から、知る人ぞ知るオツな味まで厳選ご紹介。ついつい通いたくなる、いとしの味わいです。
何十年も変わらぬ誠実な味、ワンモアのサンドイッチ
ワンモアのミックスサンド
薄焼き卵のエッグサンドとハムサンドのミックス。オーダーを受けてから焼き上げる卵の味付けはバターのみ
ワンモアのフレンチトースト
銅板で焼くフレンチトーストは仕上げにかけるレモン果汁の酸味が甘すぎない大人の味を演出。自家製のメイプルシロップを添えて
直木賞作家の常盤新平さんをはじめ、数々の文化人に愛されてきた『ワンモア』。銅板で焼くホットケーキが有名だが、実はサンドイッチにもファンが多い。オーダーが入ると、ご主人の福井明さんはきびきびと作業を進めていく。ミックスサンドはバターたっぷりで焼いた卵とロースハムの2種盛り。特注の食パンはご近所のベーカリー『さくら堂』がこの店のために焼いている。その日の朝に届く少女の頬のように柔らかなパンはふかふかだ。吟味した食材と丁寧な仕事ぶりが導く、何十年と変わらぬ誠実な味に心も緩む。
直木賞作家の常盤新平さんをはじめ、数々の文化人に愛されてきた『ワンモア』。銅板で焼くホットケーキが有名だが、実はサンドイッチにもファンが多い。
街の人々が集うジャズと料理のシックな空間「カフェ ブールマン」
カフェ ブールマンの和牛すね肉のビーフシチュー
牛のすね肉を柔らかくなるまで煮込んだコクのあるシチューは隠し味にフルーツなども入っている。パンと一緒に食べればボリュームも満点だ
1980年にオープンしたこのカフェ ブールマンは、街の住人の憩いの場であった。2012年から現店主の吉岡さんが引き継ぎ、少し遅めの15時からの開店となり、週末にはトップクラスの出演者によるジャズライブ等が行われる。時代は変われども、今も昔も音楽と地元を愛する人たちの憩いの場であり続けている。
お酒や料理も充実で、特にワインとフォンドヴォーで煮込んだ「牛すね肉のビーフシチュー」は絶品だ。スパイスが香る目玉焼きなど、ありふれたメニューもジャズさながらのアドリブがきいているのが面白い。
「カフェ ブールマン」は1980年にオープンした店、街の住人の憩いの場であった。2012年から現店主の吉岡さんが引き継ぎ、少し遅めの15時からの開店となり、週末にはトップクラスの出演者によるジャズライブ等が行われる。
ジャズの音に揺られながらジャズ オリンパス!名物のカレーを
ジャズ オリンパス!の赤いチキンカレー
ランチは単品900円。夜はクラッカーを添えた「赤いチキンカレーのスープ」950円もある
ジャズ オリンパス!の店の奥に鎮座するのはJBLのスピーカー「Olympus」。50年以上前の名器から鳴り響く、ジャズの心地良い音がこの店の主役である。が、もうひとつの主役といえるのが「赤いチキンカレー」だ。店主の小松誠さんが理想とする味を再現するために、スパイスの調合をイチから手がけた自慢のカレーである。ルウはスパイシーでさらりとしたインド風。コシヒカリを使ったライスの旨さも出色で、カレーをさらに引き立てる。
食後はコーヒー片手にジャズの音の波に身を任せて、しばし心地よいひと時を。
店の奥に鎮座するのはJBLのスピーカー「Olympus」。50年以上前の名器から鳴り響く、ジャズの心地良い音がこの店の主役である。
ここだけでしか食べられない老舗喫茶、ロッジ赤石の名物
ロッジ赤石のエビサンド
厚切りトーストに身の詰まったエビフライがぎっしり
『ロッジ赤石』は浅草のオアシスである。小さな厨房で2代目の小沢康純さんが腕を振るうメニューは、サンドイッチ類から洋食、丼と幅広い。さらに深夜まで営業というのもこの界隈では貴重。中でも人気なのが「エビサンド」で、「エビフライをパンに挟んでよ」という何気ない常連客のリクエストから誕生したという。エビフライ、タルタルソース、キャベツ、ウスターソースが絶妙なバランスで、食べればたちまち虜になる。これを目当てに通う常連が少なくないというのも大いに頷ける。
『ロッジ赤石』は浅草のオアシスである。小さな厨房で2代目の小沢康純さんが腕を振るうメニューは、サンドイッチ類から洋食、丼と幅広い。
路地の奥に今も残された昭和を味わう
画廊喫茶ミロのミラネーズ
単品のほかドリンク付きのセットもお得。食べ進むうちにチーズが熱でとろけてくる
駅前の細い路地に隠れるようにあるこの店は創業1955年。先代から娘の清水京子さんへと受け継がれ、60余年を経て今なお懐かしい昭和の面影と味を留めている。お目当ては、炒めたパスタを塩とバターで味付けした「ミラネーズ」だ。白いナポリタン風のこのスパゲッティは、その当時ハイカラだったレストランの料理からヒントを得たオリジナル。手作りのポテトサラダ、野菜、フルーツが一緒に盛り付けられていて、ボリュームも栄養も満点。いとしき昭和のキッチュな世界に浸り、しばしのタイムスリップを。
駅前の細い路地に隠れるようにある「画廊喫茶ミロ」は創業1955年。先代から娘の清水京子さんへと受け継がれ、60余年を経て今なお懐かしい昭和の面影と味を留めている。
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